10日、参議院議員の通常選挙が行われ、立憲民主党は岩手などで議席を落とし、選挙前の23議席を17議席に減らしました。選挙中、私は全国の仲間の応援に回り、青森と長野の選挙区では勝利を収めることができました。今回、全国に32県ある、1人だけが当選する「1人区」の中で、立憲民主党が勝ったのはこの二つだけです。立憲民主党へのご支援に深く感謝すると共に、勝敗を分けた原因につき厳しく総括したいと思います。

そして、投票日直前の8日、安倍晋三元首相が銃撃されて死去したことは、今回の選挙を振り返る際に永遠に語り継がれることでしょう。今は亡き安倍元首相に対し、改めて、心よりご冥福をお祈りします。

犯人が犯行に及んだ経緯や動機は、いまだはっきりしません。しかし、いかなる理由であれ、有権者が投票先を決める上で重要な意味を持つ選挙演説を、暴力で破壊することは断じて許されません。日本が過去の過ちを繰り返さぬよう、卑劣なテロ行為に委縮することなく、民主主義国家にふさわしい、自由で公正な言論活動、政治活動を率先して行い続けます。併せて、こうした活動を妨げるあらゆる動きに対し、厳しく対峙することを誓います。

さて、安倍元首相とは、予算委員会などで何度も議論を交わしました。5年前の通常国会では、テロ対策についても取り上げたことがあります。当時の国会では、「テロ等準備罪」という新たな罪を設けるための法改正が議論となっていました。

私から安倍首相に対し、「『テロ等準備罪』の実体は過去に廃案となった『共謀罪』だ。テロとは無関係な犯罪についても、話し合っただけで処罰するのは、憲法で保障された言論の自由や集会の自由を委縮させるのではないか」と尋ねたところ、「東京オリンピックを控えて、テロを防止する上で穴がある」と述べ、法改正の必要性を縷々答弁していました。

結局、強行採決で法案は成立しましたが、いまだかつて「テロ等準備罪」で処罰された事例を聞いたことがありません。むしろ今回のように単独で行うテロ行為には「共謀」すらなく、そもそも「テロ等準備罪」では防ぐことができません。しかも、今回のテロ行為は「準備」の段階で発見できなかったとしても、事件現場の警備態勢がきちんと整っていれば防ぐことができたはずです。

安倍元首相が埋めることにこだわった「テロ対策の穴」でしたが、本来あってはならない、もっと大きな穴によって大切な命が奪われてしまいました。今は亡き安倍元首相にとって痛恨の極みだったと拝察します。