2年前、新型コロナで打撃を受けた事業者に対し、国は最大200万円の「持続化給付金」を支給しました。政府は、感染防止と事業者の利便性を考え、オンライン手続を導入しました。これを逆手にとった詐欺事件が各地で起き、現在次々と摘発されています。多くの事業者がコロナ禍で苦しむ中、火事場泥棒のように税金で私腹を肥やした面々には、激しい憤りを覚えます。そして、その中には国民から強制的に税金を徴収する権限を持ち、高い倫理観と順法精神が求められる国税関係の職員が含まれていました。呆れて物も言えません。

振り返ってみると、国税庁のトップを務めた佐川宣寿・元財務省理財局長自身、倫理観と順法精神が欠如した人物でした。森友学園関連の公文書に関し、国会では廃棄したなどとウソの答弁を繰り返し、部下には公文書の改ざんを命じていました。その結果、赤木俊夫さんという有能で誠実な職員が自ら命を絶つという悲惨な事件が起こりました。

ところが当の佐川氏は刑事責任を負わず、赤木さんの遺族が国と佐川氏の民事責任を追及する裁判も、証人尋問すら行われず幕引きとなりそうです。真相解明のため、私は予算委員会で何度も佐川氏の証人喚問を求めましたが、政府与党は拒否し続けています。加えて、国の民事責任を追及する「国家賠償訴訟」では、国が突如として請求を認諾して訴訟を終わらせ、1億円以上を赤木さん側に支払いました。しかし、その元手は国民の税金です。

「国家賠償法」上、国は賠償金を支払った後に、その原因となった行為を行った公務員に「故意または重過失」があれば、「求償権」(国が支払った賠償金を取り戻す権利)を行使できます。本件では、赤木さんの自殺について、「公文書改ざん」の指示をした佐川氏に「故意または重過失」は認められないと財務省が勝手に判断し、「求償権」を行使していません。また、本件を含め、昨年1月から今年4月までの間に国が支払うこととなった賠償金は約6億4千万円に上りますが、そのうち国が「求償権」を行使した案件はゼロです。

不法行為を行った官僚が説明責任からも賠償責任からも免れる「逃げ得」が放置されているのです。このままでは「持続化給付金詐欺」のように、倫理観と順法精神を欠く公務員の行為が続きかねません。そこで、私が中心となり、①国家公務員に故意がある場合は国が「求償権」を必ず行使し、②「求償権」を行使しない場合も国は必ず具体的な理由を公表すること、などを定める「国家賠償法改正案」を立案し、7日に衆議院に提出しました。

「逃げ得」を満喫している佐川氏は、今、いったい何をしているのでしょうか。後輩職員のあり得ない不祥事を見て少しでも良心が痛むのであれば、私たちの法案が成立する前に国会に出席して説明責任を果たし、国民の税金から支払われている賠償金を返還すべきです。