6日、北京オリンピックのスキージャンプ・ノーマルヒル競技で、小林陵侑選手が今大会日本初の金メダルを獲得しました。八幡平市出身で盛岡中央高校を卒業した25歳の若者は、前回の平昌五輪に出場した際に「自分に足りないことが分かった」と目覚め、その後の4年間、お兄さんの潤志郎さんと「一緒に悔しい思いもうれしい思いもして」栄冠にたどり着きました。今日までの本人とご家族をはじめ関係者の皆様のたゆまぬ努力に対し、同じ岩手県民の一人として、心より敬意を表し、お祝いを申し上げます。

小林選手に限らず一流のスポーツ選手は、失敗しても現実から目を背けず、目標の達成に向けて自己改革を繰り返しながら、成功に近づいていきます。逆に言えば、失敗を認めず、自らを変えることなく、同じことを繰り返していても成功できません。それは他の世界にも当てはまるはずです。「2年で2%の物価安定目標を達成する」と公言し、「異次元の金融緩和」を行った日銀の黒田東彦総裁に国会で質問する都度、その思いを強くします。

例えば、2日の予算委員会で、地域経済を支える重要な役割を担う地方銀行や信用金庫について、「融資などの本業で得られる利益が年々減少して経営が厳しくなっているのは、日銀が目標を達成できず、約9年間も『異次元の金融緩和』で超低金利を続けてきたことが一因となっていることを認めないのか」と尋ねると、いきなり声を荒げて「認めません」と答弁。自らの金融政策の失敗を意地でも認めたくないようです。

また、1月25日の予算委員会では、「世界的に物価が上がり、米国や欧州の中央銀行は金融緩和を見直す中、日銀が今後も『異次元の金融緩和』を続けて、賃金よりも物価が上がる「悪い物価上昇」を食い止められるのか」と尋ねると、関係のないことを延々と述べた挙句、「賃金が上がる前に物価が大きく上がることを警戒しながら、現在の金融緩和を継続していく必要がある」と答弁。物価上昇を未然に防ぐために、「異次元の金融緩和」を現時点で改める必要はないという姿勢を明らかにしました。

その後、予想通り、超低金利が続く「円」から、金利が高くて運用上有利な「ドル」などの外貨にお金が流れ、円安は進み、低金利の長期国債は売られています。「異次元の金融緩和」を何とか続けようと、14日に日銀は、長期金利が0.25%を上回らないように無制限で長期国債を買い入れる市場介入(「指し値オペ」)を実施する予定です。

そもそも物価の安定を目標として始められた「異次元の金融緩和」でしたが、いまや黒田総裁の地位の安定のために盲目的に延々と続けられています。もはや「異次元」というより、終わる時期の見えない「異時点の金融緩和」です。