21日に公表された12月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、前年の同じ月と比べて0.5%の上昇。「もっと上がった」と感じる方もいらっしゃるでしょう。それもそのはず、冬の暖房に欠かせない灯油代は36%、電気代は13%値上がりし、ガソリン代も22%値上がりしています。27日から政府は、ガソリンや灯油などの価格上昇を抑えるため、石油元売り会社に対し、1リットルにつき3.4円の補助金の支払いを始めました。しかし、これが小売価格に反映されたとしても恩恵は微々たるものです。
加えて、物価の上昇を抑えるために米国などの中央銀行は金融の引締め(=金利の引上げ)を行おうとしています。そうなると、長きにわたり日銀がマイナス金利を続ける日本から、金利の高い米国などに資金が流れて円安が進み、輸入に頼るエネルギーや原材料の価格が一層上昇してしまいます。
物価が上がった以上に賃金が上がれば消費が増えて景気も良くなります。しかし、多くの企業は仕入価格が上がってもそれほど販売価格を上げません。売上減少を防ぐためですが、そうなると企業の利益が細り、従業員の賃金は上げられません。「物価に負けない賃金」にするには、仕入価格の上昇を販売価格に反映しても売上げが落ちない環境を整えるべきです。
このような問題意識から、25日の予算委員会で「物価上昇を上回って賃金が上昇するまでは一時的に消費税を減税すべきではないか」と岸田首相に提案しました。首相は、「消費税は社会保障を支える重要な財源だ」として提案を拒否。「あらゆる政策を総動員して、賃金を引き上げる社会の雰囲気をつくる努力をする」と述べましたが、販売価格を引き上げる環境を整えるための具体的な政策はありませんでした。
年金生活者も物価が上がると困ります。今の公的年金制度は、賃金が物価の動きを下回ったら、賃金に合わせて物価よりも低くなるよう見直されます。反対に、賃金が物価の動きを上回って上がったら、賃金ではなく物価に合わせて見直されます。それでも物価と同じだけ年金が上がれば従来と同じ生活ができますが、そうはなりません。年金生活者が増えて保険料を納める現役世代が少なくなる状況を踏まえ、「マクロスライド」という減額がなされるからです。要するに、年金は毎年見直される度に物価に負けてしまうのです。
岸田首相にこのことを指摘し、「年金以外で収入を得るのが難しくなる75歳以上の高齢者について、『物価に負けない年金』となる仕組みにすべきではないか」と提案しましたが、「持続可能な年金となるよう議論を進めていきたい」という漠然とした答弁でした。「新しい資本主義」もそうですが、岸田首相の政策は具体策が乏しく、問題の先送りです。