厚生労働省の内部調査によると、19年12月からの1年間で、同省の職員が与野党の国会議員から頼まれてあいさつ文や講演資料を作った件数が少なくとも400件に上ったそうです。コロナ禍による各種行事の中止がなければ、もっと多かったはずです。

この件について、厚労省の事務次官は「政府の政策の内容や方針を情報提供することは、おかしくない」と開き直っていますが、政府の言いたいことを議員自身の考えであるかのように偽って世の中に広めるのは、姑息です。さらに問題なのは、こうした依頼を行う国会議員です。政府に頼らなければ人前であいさつもできない議員に、まともな国会論戦ができるはずもありません。自分で文書を作らないのなら、「文書交通費」も要りません。

私自身は、議員になって14年半、人前で話す内容はすべて自分で考えてきました。考えをまとめた原稿を読み上げたこともほとんどありません。場の状況に応じ、話す内容や長さを臨機応変に変えられるようにするためです。講演などで質問を受けた際も、専門用語ではなく、自分の言葉で答えるように努めてきました。ただ、このやり方は段々難しくなってきたと感じています。政治家が失言すればSNS等ですぐに広まり、責任を問われるからです。

全般的に政治家の言葉が当たり障りのないものになり、国民との本音のやり取りが少なくなったのも、そのせいなのかもしれません。しかし、立憲民主党の代表選挙に立候補している「小川淳也」さんは、この流れを変えようと日々頑張っています。多忙なスケジュールの合間を縫って、有楽町の駅前で「青空対話集会」を続けています。聴衆は、自発的に集まった人、たまたま通りかかった人だけです。最初は、小人数でしたが、日に日に数が増えて26日は約200人、ネットで生中継を見た人も合わせると1000人にも上りました。

私も小川陣営の事務総長として何度か足を運びました。毎回、聴衆から難しい質問や手厳しい質問が出るたびに、ハラハラさせられます。しかし、そうした質問にも真摯に耳を傾け、自分の言葉で丁寧に答える姿勢に対し、時に聴衆から歓声や拍手が沸き上がり、涙を流す方もいらっしゃいます。さながら「筋書きのないドラマ」です。聴衆の中に、これから代表選挙に投票する党員やサポーターはほとんどいないはずです。小川陣営では、本人の意向を受け、直接票を増やす効果は乏しいことを承知した上で、立憲民主党と日本の政治を国民に身近で魅力あるものにするために、この活動を最後までやり抜こうと決めました。

4人の候補による代表選は、まれにみる混戦です。小川さんが勝てるかどうかは分かりません。こちらもまた「筋書きのないドラマ」です。このドラマが良い結末を迎えられるよう、小川さんへのご支援をよろしくお願いいたします。