例年9月15日と言えば、各地の秋祭りや敬老会などで多くのお年寄りにお目にかかる日でした。残念ながら今年もコロナ禍のため、そのような機会がありません。今や「人生100年時代」と言われ、平均寿命が年々伸びて15日時点で100歳以上の高齢者は全国で約8万6千人、岩手県でも981人になります。政府が調査を始めた1963年には、全国でたった153人でした。
そして、「国立社会保障・人口問題研究所」の試算によると、世帯主が65歳以上の世帯数が2015年から2040年にかけて全国で17%(岩手では8%)増えるそうです。65歳以上の一人暮らしの世帯だけを見ると全国で43%(岩手では37%)も増えます。長寿はおめでたいことですが、老後の一人暮らしには災害、犯罪などさまざまな危険もあります。
8月中に新型コロナに感染して亡くなり、自宅等で発見された方は全国で218人に上りました。また、被災3県では震災以降、アルコール依存症など飲酒関連の相談件数が60%ほど上昇しました。その原因について宮城県の担当者は、就労世代の多くが被災地を離れる一方、災害公営住宅などに住む高齢世帯や単身世帯が増えたことに着目しています(9月16日付日経新聞より)。
今年の2月12日、菅首相は坂本大臣に「孤独・孤立対策担当」を命じ、政府には孤独・孤立対策担当室が設けられました。先日、その取組み状況を担当者に尋ねてみると、「老後の孤独問題」について目立った進展はなく、全省庁が参加する「孤独・孤立対策に関する連絡調整会議」を3月12日以降に2回開催したとのことでした。
そこで「災害公営住宅での孤立や孤独死を防ぐために、若者世代などを対象にして、入居高齢者の見守り等を行うことを条件に、安い家賃で入居してもらう」という、同月9日の復興特別委員会での私の提案の検討状況を聞くと、この提案自体を知りませんでした。復興大臣が「関係先でいろいろ検討してみる必要がある」と答弁していたにもかかわらずです。
私の提案は、被災地以外の公営住宅や一般の民家でも応用可能であり、海外や国内でも「異世代ホームシェア」という名称で導入されている例があります。孤独・孤立対策の担当者は、それすらも知らず呆れ果てました。
形だけの大臣や担当省庁は税金と人材の無駄です。自民党の総裁選挙が始まりましたが、候補者から新たな省庁を設ける案が次々と出ています。その前に、現在機能していない大臣や省庁を生かすか廃止するか、はっきり示すべきです。