11日で、世界を震撼させた米国の同時多発テロから20年になります。理不尽な凶行の犠牲となった日本人24名を含む2977名の皆様に対し、改めて哀悼の意を表します。当時のブッシュ政権は、タリバン政権が国際テロ組織「アルカイダ」をかくまっているとして、アフガニスタンを即座に攻撃し、12月には政権を崩壊させました。

しかし、米軍が撤退した今日、再びタリバンが政権を握っています。時計の針が逆戻りしている感があります。11日は、東日本大震災から10年半の月命日でもあります。こちらも、長引くコロナ禍によって、被災地の暮らしや事業の再建が後戻りしかねない状況です。

とくに懸念されるのが、外出や飲食の自粛で収益が落ち込み資金繰りが悪化した結果、事業者の方々が借入金を増やしたことによる、「コロナ債務問題」です。政府の緊急融資開始から1年半が経ちますが、返済の目途が立たないどころか、新規の借入れが必要という声も多く聞きます。そして、被災地以外でも「コロナ債務問題」が深刻化しています。

東京商工リサーチによると、全国のコロナ関連の倒産は約1年半で1973社に上り、これは10年間の東日本大震災関連の倒産件数に匹敵するそうです。地域に賑わいと豊かさを生み出す地元の事業者を守るために、「コロナ債務問題」の解決が急務です。

「コロナ債務問題」は、自己の責任ではないのに返済能力を超える借金を抱えたという意味で東日本大震災の時の「二重ローン問題」と似ています。当時、私は与党の担当者として野党の自民、公明の議員と協議し、「震災支援機構法案」を国会に提出して成立させました。

国が100%出資する「東日本大震災事業者再生支援機構」という組織が、過剰な債務を抱えた事業者の再建計画を作り、これに基づいて金融機関などから貸付債権を時価で買い取った上で、返済能力を超える部分を減免したり、返済不要な資本性資金に切り替えたりする仕組みを盛り込んだ法律です。この法律は震災から8か月あまりが経過した平成23年11月28日に成立しましたが、与野党協議は6月頃から何度も行いました。震災復興のレガシーともいうべきこの仕組みを「コロナ債務問題」にも応用すべきです。

これ以外にも、この年は震災復旧・復興のために様々な法律や予算を成立させました。民主党政権は、通常国会を70日延長したほか、臨時国会も2回開き、一年のうち289日、国会を開きました。途中で管(かん)首相が辞任しましたが、首相交代に伴って国会が閉会したのは2週間だけでした。今年は、通常国会の延長もなく、150日間しか国会は開かれていません。次の首相選びにも時間をかけ過ぎです。国会まで自粛する必要はありません。