名古屋の出入国在留管理庁(名古屋入管)の収容施設に半年以上留め置かれ、3月6日に亡くなったスリランカ人女性につき、死に至った真相を明らかにするための法務省の内部調査が行われています。

この女性は、昨年8月に日本で働くための在留資格が得られず国外退去命令を受けたものの、コロナ禍で帰国できず強制収容されているうちに、体調が悪化。治療のために一時施設外に出る「仮放免」を申請しましたが、名古屋入管はこれを認めず、申請した日から亡くなる前々日の3月4日まで医師の診察を受けさせませんでした。本来、健康上の問題があれば認められるべき仮放免を認めなかった、名古屋入管の責任の有無が問われています。

3月4日に診察した医師は、名古屋入管に女性の仮放免を勧める報告をしていました。法務省の「中間報告書」では、この点にいっさい触れていません。仮放免を勧める医師の報告書を私が国会に提出しようとしたため、法務省も隠蔽を認めざるを得なくなりました。名古屋入管が仮放免を怠った責任を逃れるため、意図的に隠したとしか思えません。

23日の法務委員会で、私から上川法務大臣に対し、「中間報告書は撤回し、最終報告書をすぐ出すべきだ」と要求。上川大臣も「できるだけ速やかに最終報告書を提出する」と確約しました。その内容は、現在審議中の入管法改正案の行方にもかかわります。悲劇を繰り返さぬため、一日も早く隠蔽やねつ造のない最終報告書を提出するよう、求め続けます。

責任逃れのための当局の報告書は、ほかにもあります。3月19日に日本銀行が公表した「より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検」は、黒田総裁が「日銀の国債買い入れを2倍にするとして2年間で2%の物価目標を達成する」とぶち上げ、2013年4月に始まった「異次元の金融緩和」に関する報告書です。

そこでは、8年経っても目標が達成されないのに、金融緩和の効果はあったとしています。それならなぜ、「より効果的で持続的な」金融緩和をする必要があるのでしょうか。また、物価目標をなるべく早く達成するために「より効果的」な金融緩和を行うとしつつ、物価目標がしばらく達成できないことを想定して金融緩和を「持続的」にするというのも奇妙な話です。20日の財務金融委員会では、黒田総裁にこの矛盾を指摘しました。

報告書では、金融緩和を「持続的」に行う理由の一つとして、物価上昇率が目標を下回る期間が長引いたら、それを勘案して金融緩和を続ける「埋め合わせ戦略」が挙げられています。この報告書を公表すること自体、金融政策失敗の「埋め合わせ戦略」なのでしょう。