13日、菅政権は、福島第一原発事故によって発生し、今も増え続ける汚染水について、放射性物質を取り除いた上で、近くの海に放出する方針を決めました。処理した後も、トリチウムという放射性物質を一定程度含みます。福島など被災地の水産業などに風評被害が生じる危険があります。東京五輪の招致に際し、安倍前首相は「汚染水は完全にコントロールされている」と見栄を張りました。しかし結局コントロールしきれず、この有り様です。
ただでさえ、人口減少やコロナ禍で被災地の水産業は厳しい状況です。それに追い打ちをかける突然の決定に対し、「なぜ今なのか」と政府に尋ねましたが、政府から納得できる説明はありませんでした。私は、震災ガレキの広域処理の経験を引き合いに出し、当時と同じように被災地以外にもある程度処理水の処分をお願いするべきではないか、と提案しました。
これにより、被災地以外の国民の理解と協力を得られれば風評被害は抑えられるはずです。この提案に対し、政府は「反対運動が起きるのでそれはできない」とあきれた答弁。被災地の反対の声を無視して海洋放出を唐突に決める一方、被災地以外の反対の声を気にして風評被害を止めようとしない態度に怒りを覚えました。
「なぜ今なのか」と言いたくなることは、他にもあります。16日に法務委員会で与党などの賛成で可決された「少年法改正案」。改正論議の出発点は、選挙権年齢や民法の成年年齢が18歳に引き下げられたことにより、少年法の適用年齢も現在の20歳未満から18歳未満に引き下げるべきではないかということでした。
しかしながら、政府与党内での検討の結果、今回の改正案でこの点は変えず、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行う」とする少年法1条の目的が18、19歳にも当てはまることとなりました。
にもかかわらず、その目的を達成するための重要な手段である、①将来罪を犯すおそれがある者を家裁の保護処分の対象とする定め、②前科者に対する資格制限を少年には及ぼさないとする定め、③少年の実名が知られてしまうような報道や発信を禁止する定めについて、18、19歳には適用しないこととしたのです。どっちつかずで、不要不急の法案です。
14日の法務委員会で、「18歳は大人でしょうか、子どもでしょうか」と上川大臣に尋ねると、「大人のような子どももいるし、子どものような大人もいる」といい加減な答弁でした。処理水放出、少年法改正、そしてコロナ対策と場当たり的で説得力のない対応を繰り返す菅政権。この政権の存在自体に、「なぜ今なのか」という疑問が浮かんできます。