8日、参議院の長野選挙区の補欠選挙と広島選挙区の再選挙が告示され、25日の投開票日に向けて17日間の選挙戦が始まりました。長野選挙区は、私も長年親しくさせて頂いた、立憲民主党の羽田雄一郎・元国交大臣の急逝を受けて行われる補欠選挙です。

一方、広島選挙区は、2019年の参院選で自民党から多額の資金援助を受けて当選した河井案里氏の当選が無効となったために行われる「再選挙」、つまり、やり直しの選挙です。案里氏とその夫の克行・前法務大臣の選挙買収で「選挙の公正」が害されました。今回の再選挙は、その反省に立って、「選挙の公正」を取り戻すための選挙にしなければなりません。

野党側が擁立したのは、無所属のフリーアナウンサー「宮口治子」さんです。「市民感覚に一番近い政治」を掲げ、不正な選挙とは無縁の新人候補者です。一方、自民党は河井案里氏に続き公認候補を立てています。驚くべきことに、その選挙対策会議には案里氏らから買収資金を受け取ったとされる自民党の地方議員も顔を出していたようです。

これらの地方議員は今のところ刑事処分を受けていませんが、案里氏の有罪が確定し、克行氏が公判で罪を認めている以上、今後罪に問われる可能性が高いと言えます。過去の選挙買収事件では、買収した側だけでなく買収された側も「必要的共犯者」として処罰される例が多いからです。

もし処罰されれば、地方議員としての地位を失い、公民権停止で原則5年間は選挙に立候補できず、選挙運動も禁止になります。しかし、検察が刑事処分を保留にしている限り、今回の再選挙で自民党の候補者の選挙運動に関わることができます。これでは、「選挙の公正」が再び害されかねません。選挙が終わった後に起訴され、有罪が確定しても手遅れなのです。

7日の法務委員会において、上川法務大臣にこのことを指摘し、「選挙が始まる前に、起訴するかしないのか、結論をはっきりすべきではないか」と追及。上川大臣は、事の重大さをわきまえておらず、「捜査機関の活動内容に関わる事柄であるため、お答えは差し控える」という官僚答弁を繰り返すのみでした。

政府が提出し、法務委員会で審議中の「少年法改正案」では、18、19歳の若者が犯した選挙犯罪について厳しい扱いを定めています。通常の事件と異なり、家庭裁判所から検察に「逆送」して刑事責任を問うにあたり、「選挙の公正の確保」等を考慮するよう求めているのです。法務大臣が責任者として国会に提出した法案では「選挙の公正」を重視するのに、現実の「選挙の公正」には無関心。これでは、若者に刑事責任を問う資格がありません。