23日、東京地裁の公判で、河井克行元法務大臣が自分の罪を概ね認め、衆議院議員を辞職すると表明しました。克行氏は、すでに有罪が確定した妻の案里氏を参院選挙で当選させるため、自民党の地方議員ら100人に合計2900万円を配ったとされています。

しかも、裁判に提出された元会計担当者の供述調書には、自民党本部から案里氏側に提供された1億5千万円の一部が、選挙買収の原資として使われた旨が書かれていました。河井事件について、自民党の二階幹事長は「党としても他山の石としてしっかり対応する」と他人事のように述べましたが、実態は「同じ穴のムジナ」です。

24日の法務委員会で、私から上川法務大臣に対し、「法の支配を守るべき法務大臣の地位にあった者が法を犯したことを自ら認めた。同じ法務大臣としてどう考えるか」と尋ねたところ、「公判係属中の個別事件であり、所感を述べることは差し控える」と、こちらも他人事のような答弁でした。

さて、この日の質疑は、「所有者不明土地」を解消するための民法等の改正案が本題でした。所有者不明土地問題が注目され始めたのは、東日本大震災の復興事業がきっかけでした。高台移転や防潮堤の用地を確保しようとしても、対象の土地について長年相続登記が行われてこなかったため、法定相続人が膨大な数に上る場合がありました。

地元の市町村職員は、ただでさえ多忙な中、法定相続人の所在を突き止めて用地買収の同意を得るのに大変な時間と労力を費やしました。その分、復興事業も遅れてしまいました。今回の法案は、東日本大震災の時の苦い経験を教訓として立案されました。まさに、震災復興時の経験を「他山の石」として、今後も全国で起こり得る大災害に備えようとするものです。

ただし、政府は、今回の法案をもっと早く提出できました。私と同僚議員は、すでに7年前から、①所有者不明土地を復興事業のために利用する際、公告をして一定期間に異議の申し出がなければ法定相続人の同意がなくても事業に取りかかれるようにし、②法定相続人の多数が不明であっても財産管理人を一人選べば遺産分割を行えるようにする、復興加速化のための法案を順次国会に提出していました。

ところが政府与党は、私有財産権を保障する憲法の定めに反するなどとして法案の審議に応じませんでした。このことを上川大臣に指摘すると、「時間がかかったと言われればその通りかもしれません」と率直に認めました。国会の立法の遅れが国民生活に多大な影響を及ぼすことについても、コロナ対応が後手に回る菅政権は「他山の石」とすべきです。