あの未曽有の大災害から10年が経ちました。被災3県を中心に、避難者は最大で約47万人、死者・行方不明者・震災関連死の合計は2万2200人、半壊以上の住宅が約41万戸に達しました。日本全国の新型コロナの感染者の累計が約44万人、死者が8464人(3/11現在)ということから見ても、被災地の受けた人的・物的ダメージは計り知れません。岩手や宮城の被災地では、防潮堤や道路、公共施設など「器」はできてきましたが、「中身」である地域社会や地場産業が活気を取り戻すには、まだまだ公助が必要です。

9日、私が本部長代理を務める立憲民主党の東日本大震災復興本部の主要メンバーで復興大臣を訪ね、これからの復興に関する「34の提言」を手渡しました。被災地のダメージを回復するための「マイナスをゼロに戻す」提言のほか、若者等が未来に希望を持てる地域を創るための「マイナスをプラスに転換する」提言も盛り込んでいます。後者の中には、「国際リニアコライダーの誘致」や「移住・定住の促進」もあります。

「移住・定住の促進」については、同日行われた震災復興特別委員会においても、平沢復興大臣に二つの提案をしました。

第一に、被災市町村ごとに復興庁が移住者や帰還者の動向を定期的に調査して、国の支援の効果を検証し、改善を図るという提案です。これまで復興庁は、このような調査をしていませんでしたが、昨年の私の質疑をきっかけに調査をはじめ、5日にその結果が出てきました。概して言うと、陸前高田や気仙沼のようにNPOの活動が積極的な地域や釜石、野田村、塩竈、東松島のように住宅関係の支援が充実しているところが成果を上げています。

半面、成果が出ていなかったり、そもそも実績の把握が不十分だったりする市町村もあります。調査結果に基づき、復興庁が成果を上げた市町村の方法を他の市町村に広げることで被災地全体の移住者等が増えるはずです。平沢大臣も「移住者の数を正確に把握して、きちんと対応していくことは極めて大事ですので、しっかり続けていきたい」と答弁しました。

第二に、被災3県の災害公営住宅において、空き室や孤独死の増加傾向が報じられています。この解決のために、若者世代や、収入に応じて高い家賃を払う現役世代を対象に、入居高齢者の見守り等を行うことを条件に災害公営住宅に低廉な家賃で入居させる方法を提案しました。オランダで似たような仕組みがあり、これを参考にしたものです。平沢大臣は「非常に面白い取組みだ。関係先でいろいろ検討してみる必要がある」と前向きな答弁でした。

10年は節目ではなく通過点です。復興完遂に向け、これからも全力を尽くします。