26日、財務金融委員会で、前年度の決算で余った約7千億円を第三次補正予算の財源として使う「決算剰余金特例法案」について、質疑と反対討論を行いました。「決算剰余金」は、財政法の定めにより、その半分以上を国の借金の返済に充てなくてはなりません。このルールを破るためには、内閣が国会に「特例法案」を提案し、成立させることが必要です。

ただし、安易に「特例法案」を成立させると国家財政が悪化し、将来の国民負担が増加します。「特例法案」を提案するのであれば、国民が納得できる理由がなくてはなりません。ところが、麻生大臣は、質疑の前に法案の趣旨説明を行った際、肝心の「提案の理由」を読み飛ばしてしまいました。財務官僚から渡された紙を意味も考えずに棒読みしているので、私が指摘しても、しばらくは読み飛ばしたことすら気付かないという醜態でした。

「提案の理由」を改めて聴くと、「補正予算において国債の発行を抑制する」との説明でした。確かに、7千億円の決算剰余金を補正予算に使えば、「赤字国債」の発行額を減らせます。しかし、その分、期限が来た借金の返済資金を調達する必要が生じます。そのために「借換債」を7千億円発行するので、全体で見れば「国債の発行を抑制する」ことにはなりません。単に借金の名目を変えただけで、無意味な法案だと言わざるを得ません。

もう一つ注目すべきは、今回の「決算剰余金」の性質です。「決算剰余金」という言葉を聞くと、決算が黒字になって余ったお金のような気がします。しかし、前年度はコロナの影響もあって国の税収入が落ち込み、決算前に赤字国債を追加で1兆7千億円も発行しました。その後、税収入の落ち込み幅が縮小したことなどから、赤字国債で調達した資金が余りました。これも財政上は「決算剰余金」として扱われますが、要は、「借金の使い残し」です。

財政法のルールでは税収入が予想より上回った「黒字」の「決算剰余金」であっても、半分以上を借金返済に回すことを求めています。まして今回のような「赤字」の「決算剰余金」であれば、当然に借金返済に回すべきです。

平成以降で今回と同様のことが行われたのは、平成7年度の第二次補正予算だけです。ただ、この時は約6千億円の決算剰余金を使うことで赤字国債の発行額を約2千億円に留めることができました。今回は7千億円の決算剰余金を使っても、赤字国債の発行額が18兆5千億円に上り、そのうち約6兆円が「不要不急」の支出に充てられます。

以上のことを、私の質疑と反対討論で指摘しました。麻生大臣が「国債の発行を抑制する」という部分を読み飛ばしたのは、やましい気持ちがあったからなのかもしれません。