24日、安倍前首相は、「桜を見る会」の「前夜祭」を開催した際、参加者から徴収した会費とホテル側に支払った金額との差額を、何年にもわたって安倍氏側で補てんしてきた問題について記者会見を開きました。過去の国会答弁では「補てんの事実はまったくない」と述べていましたが、これが事実と異なることを認め、「政治責任は極めて重い」として国民とすべての国会議員に謝罪しました。

その一方、秘書が「前夜祭」の経費を補てんしたことや、合計約700万円を収支報告書に記載しなかったことについて自分は知らなかったと弁解。「初心に立ち返って研さんを重ね責任を果たす」と述べ、議員辞職や離党の意思は示しませんでした。東京地検特捜部も安倍氏の刑事責任を問わず、秘書のみを政治資金規正法違反で略式起訴しました。秘書は罰金刑を科せられ、責任を取って辞任。まさに「トカゲのしっぽ切り」です。

安倍氏は、25日に国会に出席したことをもって区切りをつけたかったようですが、この日の発言を聞いていると、不可解なことが多く納得できません。とくに補てん資金の出所は安倍氏の個人預金だとしながら、補てんの事実を最近まで知らなかったというのは信じがたいことです。「ウソの上塗り」の可能性も否定できません。

衆議院の調べでは、安倍氏が首相在任中、この問題につき国会で118回も虚偽の答弁が重ねられました。「前夜祭」に関する事実が包み隠さず語られていれば、もっと有意義な審議ができたはずですが、今となっては「後の祭り」です。不毛な事態の再発を避けるため、安倍氏には虚偽の答弁をすれば偽証罪が成立する証人喚問に応じてもらう必要があります。

もう一つ、新型コロナウィルスの感染拡大防止策について、「後の祭り」とならないか心配なことがあります。イギリスでは、変異により感染力が相当強まったウィルスが広がっています。ドイツやフランスなどヨーロッパの主要国は、20日以降、イギリスからの航空便の受入れを停止しています。他方、我が国は、「イギリスから日本に入ってくるのは一日に1人か2人」という菅首相の誤った認識もあり、24日以降、ようやくイギリスに関する水際対策が改められました。しかし、航空便の受入れを続けるなど中途半端です。

先日、衆議院法務委員会の理事会メンバーで羽田空港を訪ね、海外から入国する方々への検疫や入国審査の現場を視察してきました。日本到着後の検査、審査は整然と行われていましたが、現地出発前の検査や到着後空港を出てからの行動把握など問題点もありました。今般のイギリスの問題を踏まえ、当局に対して改善すべき点を伝え、感染拡大を食い止めるために万全の態勢を取るよう求めました。