28日、安倍首相が辞任を表明しました。持病の潰瘍性大腸炎が再発し、国民の負託に応えられないと判断したとのことです。13年前の第一次政権の時と同じく、政権が逆風にさらされる中、持病が悪化したことを理由とする突然の辞任表明でした。

ただし、わずか1年で退陣した第一次政権と異なり、7年8か月の長きにわたり政権を維持してきた末の辞意です。24日には佐藤栄作元首相を抜いて連続在職日数が歴代単独1位となっていました。コロナ禍もあり、心身の疲労は相当たまっているようにも見受けられました。「国難突破解散」で前回総選挙に勝利したにもかかわらず、「国難」の中で退陣することへの無念の思いもあるでしょうが、今回の辞任はやむを得ません。ご慰労を申し上げますと共に、一刻も早く後任に大役を引き継いで病気の治療に専念して頂きたいと思います。

さて、この7年8か月、衆議院の予算委員会などで、私も安倍首相には何度も質問をさせて頂きました。今年に入ってからは、「巨大な利権を生むカジノを日本に誘致すれば、贈収賄など違法行為の温床になるのではないか」「学校の一斉休校を法的根拠なしで行うのはおかしいのではないか」といった点について、首相の見解を求めました。

カジノの問題に関しては、「いわば違法行為の温床にならないようにしなければならない」と答弁しつつ、政治家と事業者との間の不正な金銭のやり取りを防ぐ方法にはまったく触れませんでした。この質問の時点で、安倍首相がカジノを担当する副大臣に任命した秋元司代議士が「収賄罪」で逮捕、起訴されていたにもかかわらずです。

ちなみに、今月20日、秋元被告人は無罪獲得を狙って贈賄した人物に金を渡し、裁判でうその証言を行うよう依頼したとして、「証人等買収罪」でも逮捕されています。カジノは確実に違法行為の温床になりつつあります。

学校の一斉休校に関しては、「基本的な要請であって、各学校等あるいは地域において柔軟にご判断頂きたい」との答弁でした。しかし、「要請」というやり方で政府の責任も法的効力もあいまいにしてきた結果、「要請」に従う人と従わない人との間で不公平やトラブルが生じ、経済活動が落ち込んでも政府が損失を補償しない扱いが正当化されてきました。

ことほどさように、安倍首相が国会での質問にまともに答えなかったり、あいまいな答えでごまかしてきたりした結果、多くの国政課題が解決されず山積しています。野党側からは解決策を法案等で示していますが、審議の場である国会が開かれず消化不良になっています。次期政権に対しては、課題解決につながるよう、充実した国会審議を求めていきます。