毎年、母の日が来るたびに司法試験を受験していた頃を思い出します。母の日の5月第2日曜日は、以前は司法試験の短答式試験(マークシート方式の試験)が行われる日でした。
当時は、短答式試験で受験者の5分の1ぐらいを合格させ、7月の後半に行われる論文試験で6分の1ぐらいを合格させ、10月の後半に行われる口述試験を経て、最終合格者が決まる長丁場の試験であり、合格率もせいぜい3%という本当に狭き門でした。受験生は論文試験用の勉強に大半の時間を費やしますが、最初の短答式試験でつまずくと次の論文試験に進めず、苦労は水の泡。翌年の母の日まで待たなくてはなりません。母への感謝を忘れるぐらい、緊張する一日でした。
その後試験制度は変わり、今では、5月のちょうど今頃に短答式試験と論文試験がセットで行われ、口述試験はなくなりました。合格率も昨年は27%程度で、これだけ見ると旧試験よりはるかに楽になったように思えます。にもかかわらず、昨年まで3年連続で受験者は減少し、旧試験のピーク時で4万5千人を超えていたのが昨年はわずか7653人になってしまいました。
試験は楽になったのに受験者が減り続けるのはなぜでしょうか。
一つには、司法試験を受けるのに膨大な時間とお金がかかること。新制度では法科大学院を修了しなければ原則として受験資格が得られません。そのためには、最低でも2年(法律未習者は3年)、学費は少なくとも300万円程度かかります。
二つめは、それだけの代償を払っても合格率が低いこと。制度発足時には、法科大学院を修了すれば7、8割の人は合格できると言われましたが、全国で70校程度ある法科大学院でこれを満たすのは数校だけです。中には、ほとんど合格者がいないところもあります。
三つめは、首尾よく試験を受かっても弁護士の職に就けないこと。最近では、新たに法曹資格を得た2000人ほどのうち、すぐに弁護士になれない人が500人以上にも上ります。運よく就職できた人も収入は激減しています。
法科大学院を出ても社会で活躍できる保障はないため、刑務所になぞらえて「懲役2~3年、罰金300万円」という言葉もあるそうです。刑務所は罪を償うために強制的に収容されるものです。罪を犯してもいないのに刑務所に入りたいという人は普通いません。司法試験に有為な人材が集まるようにするには、法科大学院に入らずとも司法試験を受けられるようにする必要があります。9日の法務委員会での参考人の方々との議論を通じ、この思いを強くしました。