震災から2年10か月となった11日、釜石市を訪ねました。最初に、政府から「『新しい東北』先導モデル事業」の一つに選ばれた、平田(へいた)仮設団地のコミュニティ活動の様子を視察しました。
「『新しい東北』先導モデル事業」と聞いても、なかなかピンと来ないと思います。『新しい東北』とは、人口減少や高齢化など、今の日本が抱える課題が被災地で顕著であるため、震災復興を契機にこれらの課題を解決し、東北地方を日本や世界をリードする「創造と可能性の地」に変えようという考え方です。
そして、平田仮設団地の取組みは、人口・世帯減の進展する中小集落においてコミュニティを持続させていくモデルケースにふさわしいとして、政府が先導モデル事業に選定し、補助金支給などの支援を行なっています。
この仮設団地では、設計段階から東京大学や岩手県立大学の提案を受け、高齢者の孤立防止や地域との交流に配慮した作りになっています。居室を玄関向かい合わせにしたり、高齢者が居住する仮設住宅の周りをウッドデッキにして、段差がなく居心地のよい空間にしたりしています。
団地中心部には、デイサービス、診療所、地域交流の機能を兼ね備えたサポートセンターが置かれ、テレビ電話を使って24時間体制で高齢者の暮らしを見守っています。その近くには、誰でも好きな時に飲食や喫茶をしながら交流し、息抜きができる「みんなの家」という施設もあります。若いボランティアが子どもに接する学習と遊びの場もありました。さらに、住民が番組作りに参加し、各仮設住宅のテレビの空きチャンネルで放映されるコミュニティ放送も間もなく始まる予定です。
団地内には昨年末時点で221戸に430人が住み、一人暮らしのお年寄りも40人いらっしゃいます。しかし、自治会の役員の方々のお話では、釜石のみならず沿岸各地から入居者が集まっているにもかかわらず、交流は円滑になされているとのことでした。また、お年寄りの方からは、ここの仮設を出たら寂しくなるという声も聞かれました。
一方、その後に参加したイベントでは、仮設住宅で暮らす子どもたちから「復興を早く進めて欲しい」という切実な声がありました。住宅再建を一刻も早く進めなければならないのは当然として、それだけでなく、老若男女が幅広く参加するコミュニティを維持し、孤立した暮らしを防ぐソフト面の整備も同時に進めていく必要があることを痛感しました。
