4日、自民党の総裁選で高市氏が当選。永田町かいわいでは、小泉氏や林氏が有力視されていました。ところが、投票直前に麻生氏が「党員票が一番多い候補にすべきだ」と派閥内に伝えて風向きが一変。最も党員票が多かった高市氏が議員票も集め、勝利しました。

当選直後、舞い上がった高市氏が「ワークライフバランスという言葉を捨てる」と挨拶したのも驚きでしたが、「裏金」の温床だった派閥のトップの意向で総裁が決まり、「裏金議員」が要職に起用されるという「変わらない自民党」にも驚かされました。そんな「変わらない自民党」に愛想が尽きたのか、本当に変わったのが公明党でした。

10日、斉藤鉄夫代表が、「政治とカネ」に関する基本姿勢につき意見に隔たりがあるとして、自公連立政権を解消し、国政選挙での協力も行わないことを表明しました。連立与党として政権を担い、この26年は何があっても同じ屋根の下にいて自民党を支え続けた公明党からの突然の別れ話。「熟年離婚」と同じように、他人から見ると意外です。

しかし、右寄りで外国人に厳しく、個人の尊厳や自由を軽んじ、借金頼みの積極財政を良しとする高市氏の考え方は、公明党やその支援者には受け入れがたかったのでしょう。むしろどちらかと言えば私たち立憲民主党の方が、考え方は近いのではないでしょうか。公明党が離れたことで与党は自民党だけとなり、衆議院の議席は196に過ぎなくなりました。

頭の体操ですが、公明党が立憲民主党、日本維新の会、国民民主党と組んだ場合、合計議席は234となって、過半数の233を上回ります。この中から総理大臣を選び、右にも左にも偏らない政権を創る好機です。自公政権では通らなかった企業団体献金の規制強化、ガソリン・軽油の暫定税率の廃止、選択的夫婦別姓の導入なども実現が見えてきます。

「中道連立政権」の見本は、ドイツにあります。極右政党による政権樹立を阻止するため、中道右派の「キリスト教民主同盟(CDU)」、「キリスト教社会同盟(CSU)」と中道左派の「社会民主党(SPD)」による政権がこの春に発足しました。メルケル首相が在任していた2021年までの16年間のうち12年間も、同じ枠組みの「中道連立政権」でした。

今年5月、引退したメルケル氏の講演を聴く機会がありました。「政治で最も重要なことは妥協だ」という言葉が印象的でした。彼女は、他党や仲間内を批判して抑え込むのではなく、「節度と中庸」こそが成功を収めるための基盤だ、と著書で述べています。SNSの普及により、有権者の関心を集めるために「節度と中庸」を欠く主張を展開する政党、政治家が増えてきました。今こそ妥協すべきは妥協し、「中道連立政権」を築くときです。