17日、財務金融委員会では「所得税法等の改正案」が審議され、質疑に立ちました。今回の改正の目玉は、金融商品への投資で得た所得への課税を一定の範囲で免除する「NISA」という制度を拡大することです。非課税で投資できる上限額は、比較的リスクの小さい投資信託に定期的・継続的に投資する「つみたてNISA」では年間120万円で3倍増、投資の対象や方法を選べる「一般NISA」では年間240万円で2倍増となります。両者合わせて累積で1800万円まで非課税で投資できる点でも、大幅な拡大です。

その上、過去に購入した金融商品を売却すれば、その分非課税の投資枠が復活します。株式等に投資して利益が出たら売却して投資枠を復活させれば、永久に非課税で投資できます。そもそも「NISA」は愛称です。正式には「少額上場株式等にかかる非課税措置」という名称なのに、生涯で1億円を超える売買を非課税で行うことも可能なのです。

「これでは『少額』とは言えないのではないか」と鈴木財務金融大臣に問うと、「1億円を超えるようになれば名称との整合性はどうかなと思う」と率直な答弁。そして、「投機的な回転売買が起きないよう金融庁の監督を強化する」とも述べました。しかし、最初から投資枠の復活を認めなければ監督を強化する必要もありません。「貯蓄から投資へ」というより「貯蓄から投機へ」になりかねない危うさがあります。

さらに岸田政権は、日本の家計全体が持つ1千兆円強の「貯蓄」のうち、250兆円程度を「投資」に向かわせる方針です。そうなれば、預け先の金融機関は保有する国債などを売却して預貯金の払い戻しに応じる必要があります。政府としては新たに国債を引き受ける先を見つけなくてはならず、国の財政がひっ迫する恐れがあります。仮に「投資」の向かう先が外貨建て資産であれば、円が売られて円安と物価高が進む危険もあります。

岸田首相は、就任当初「新しい資本主義」を掲げ、「成長と分配の好循環」を起こし、「所得倍増」を実現し、格差を是正するはずでした。しかし、いつの間にか「貯蓄から投資へ」を掲げ、「成長と資産所得の好循環」を起こし、「資産所得倍増」を達成するという考え方に変わってしまいました。

「成長と資産所得の好循環」とは、お金がお金を生む「金融資本主義」です。富裕層から一般の人にお金が分配されることは少なく、格差は広がります。今回の質疑で「資産所得倍増」の意味は、金融商品から得られる利子、配当、譲渡益を現在の年間13兆円程度から倍増させることだと判明しました。投資で大きな利益を得た方々には相応の税金を負担して頂き、「倍増」を急ぐべき少子化対策の財源にすることを目指すべきです。