22日、夏の全国高校野球大会で宮城県の仙台育英高校が初優勝しました。東北勢で初めての優勝。104回を数える大会でようやく深紅の大優勝旗が「白河の関」を越えました。歴史に残る快挙に対し、心よりお祝いを申し上げます。
さて「仙台育英」と言えば、私には1989年の決勝で延長戦の末に敗れた時のエース、大越基投手の印象が強烈です。その後、早稲田大学に入学した彼は一年生から活躍し、私も一打席だけ対決したことがあります。ピッチャーゴロに打ち取られたのですが、彼の「剛速球」がバットに当たった時の感触は、まるで鉄の球を打ったような重さでした。
そんな素晴らしい投手がいても優勝に手が届かなかったのですが、今回は絶対的な力を持つ選手はいないものの、5人の投手をはじめ選手全員が結束し、それぞれの役割を全うした結果、栄冠を手にすることができました。優勝直後のインタビューで、須江監督が、コロナ禍で現在の高校3年生が様々な制約を受けたことを振り返りながら、「あきらめないで努力した全国の高校生に拍手してもらいたい」と語っていたのも感動的でした。
民主党政権時代に成立した「スポーツ基本法」の前文に、「スポーツは、次代を担う青少年の体力を向上させるとともに、他者を尊重しこれと協同する精神、公正さと規律を尊ぶ態度や克己心を培い、実践的な思考力や判断力を育む等人格の形成に大きな影響を及ぼす」というくだりがあります。このスポーツの価値を体現したかのような、今夏の高校野球でした。
一方、「白河の関」ではなく、越えてはならない一線を越えた輩もいます。東京オリンピック・パラリンピックの大会組織委員会の理事であった高橋治之氏です。彼は、紳士服大手の「AOKI」が大会スポンサーとなる際に便宜を図り、その対価として合計5100万円もの賄賂を受け取った疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。
これが真実だとすれば、私腹を肥やす手段としてスポーツの祭典を利用した、極めて許しがたい犯罪です。東京オリパラには、国費として1869億円が使われています。政府には、スポンサーの選定やスポンサー料金に問題がないか、厳しくチェックする責任があります。
この点につき、スポーツ庁の担当者は野党のヒアリングで、「組織委員会の中のことで政府に権限はない」旨を繰り返しました。スポーツ基本法を所管しながら、スポーツの価値が冒涜(ぼうとく)されても無関心な様子に呆れました。「公正さと規律を尊ぶ態度」や「実践的な思考力や判断力」はどこに行ったのでしょうか。高校野球が改めて示したスポーツの価値を守るため、国会も、この問題の真相解明と責任追及に取り組む必要があります。