ロシアによるウクライナへの蛮行が止みません。それどころかプーチン大統領は、ロシアが攻撃されれば核兵器の使用も辞さない構えを見せており、核兵器を他国への威嚇の手段にしています。現在、国連本部で開催中のNPT(核不拡散条約)再検討会議では、核保有国の核軍縮などを盛り込んだ合意文書をまとめる方針ですが、どうなるか分かりません。
近年の保有国の核軍縮の遅れに対し、NPT加盟国のほとんどを占める非保有国が中心となって発案・締結し、昨年1月に発効したのが「核兵器禁止条約」です。これに加盟した国は、核兵器の実験、開発、保有、使用はもちろんのこと、他国への威嚇に使うことも禁止されます。戦争で核兵器の被害を受けた唯一の国である日本も賛同するかと思いきや、今年6月に初めて開催された関係国の会議に、日本政府は出席すらしませんでした。
その理由について、岸田首相は「日本は米国の『核の傘』の下に入ることで安全保障政策の根幹を堅持している以上、核兵器の保有を禁止する条約に応じられない」と述べています。しかし、「核の傘」の下にない多くの国にとって、この理屈は身勝手に映るでしょう。国際社会において日本が信頼を得るためにも、一刻も早く「核兵器禁止条約」の会議に出席し、核兵器の恐怖にさらされる国々に寄り添う姿勢を示す必要があります。
また、日本には「非核三原則」があります。「非核三原則」とは核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」という三つの原則です。この重要な原則について、岸田首相は「国是として堅持する」と3月の予算委員会で述べています。ならば「非核三原則」を国際社会に広めるという見地から、日本が「核兵器禁止条約」に賛同しても問題ないはずです。
加えて、岸田首相は、被爆地広島を地盤とする代議士でもあります。核廃絶はライフワークだと語っています。これまでは、NPTの体制強化など「現実的な手段」で核軍縮を進めようとしたようです。しかし、NPTの中で核軍縮を進める立場にあるロシア自体が真逆の動きをしています。今こそ、NPTにこだわることなく、新たなアクションを起こす時です。
広島に原爆が投下されて77年目にあたる6日、滝沢市のビッグルーフで「原爆写真パネル展」を拝見し、その後、主催者である「岩手県原爆被害者団体協議会」の三田健二郎会長から原爆投下直後のお話を伺う機会がありました。「自分は修羅場を見ていない」、「亡くなった方々に申し訳ない」としつつ、爆心地から2キロ付近の小学校にいて爆風に飛ばされ、気が付いたらガラスの破片が首などに突き刺さっていたことなど、過酷な体験談をお話しされていました。唯一の戦争被爆国である日本が「核兵器禁止条約」に携わる意義を、深く胸に刻みました。核兵器のない世界の実現に向け、粘り強く取り組みます。