18日の民主党厚生労働・総務部門合同会議では、年金記録確認第三者委員会で記録訂正の申立てが却下された事案について報告がありました。大手企業A社に勤めていたOさんは、昭和27年4月から31年3月までの4年間の厚生年金記録が抜け落ちているとして、第三者委員会に申し立てました。

給与明細のように保険料の天引きを示す直接的な証拠はありませんが、元同僚の証言や当時の職場写真などからOさんがA社に勤めていたことは疑いありません。しかも、A社の企業規模やOさんの勤務実態からすればOさんは厚生年金に加入しているはずであり、A社は保険料を天引きする義務があります。

ところが、第三者委員会の担当者は、制度上は保険料を天引きする義務があったとしても、実際に天引きされていたという証拠がなければA社が義務に反して天引きしなかった可能性もあるとして、申立てを退けました。

この判断がおかしいのは、①Oさんに50年以上前の保険料天引きの事実を証明するよう要求していることと、②制度上はA社がOさんの給与から保険料の天引きをしたと考えるのが自然なのにそう考えていないこと、の2点です。

そもそも第三者委員会は、証拠が乏しい「消えた年金」の被害者を救済するために設立され、税金で運営されています。事業者が天引き義務に違反する可能性まで考えて救済の門戸を閉ざすのでは存在する意味がなく、税金の無駄遣いにほかなりません。