民主党次の内閣が、金融危機対応策を了承

民主党次の内閣が、金融危機対応策を了承

10日、民主党の金融対策チームの会議に参加し、最近の金融危機への緊急対策案をまとめました。

①信用悪化で資金繰り困難となっている外国金融機関等への資金供給策、

②国内金融機関の信用不安を防ぐための公的資金注入制度の復活、

③貸し渋り等による経営悪化を防ぐための中小企業への金融支援策、

④証券市場の混乱を防ぐための空売り規制の強化、

など多岐にわたる内容で、「次の内閣」での承認を経て、今週中に正式に発表する予定です。

もともとは、サブプライムローンという米国の低所得者向け住宅ローンの焦げ付きが今回の金融危機の発端ですが、焦げ付きによる損失は、ローンを実行した金融機関にとどまらず、サブプライムローンを組み込んだ金融商品を購入した金融機関や投資家、この金融商品を保証した保険会社など全世界に広がっています。日本でも、大和生命が投資していた有価証券の損失が膨らんで債務超過となり、10日に経営破たんしました。

思い起こされるのは、10年ほど前の日本の金融危機です。大手銀行や証券会社、保険会社が次々に破たんし、貸し渋り、貸し剥がしなどで取引先にも大きな影響が及びました。

当時は不良債権の早急な処理を促す仕組みがなく、むしろ不良債権を処理して赤字決算になれば信用不安を招くという考え方が主流でした。私が勤務していた日本長期信用銀行(長銀)も不良債権の処理が遅れ、最終的には、不良債権の処理能力がないと見た投機筋から株式や債券を売り浴びせられ、経営破たんに至りました。

経営破たん後、長銀は一時国有化され、外資系投資ファンドに買収されましたが、その前後に大量の公的資金が使われ、国民の負担となりました。 もし早めに不良債権の処理を行い、それによって生じた赤字は資本として公的資金で穴埋めしていれば、将来経営が回復した時に国は資金を取り戻すことができたはずです。

もちろん金融機関は健全な業務運営に努めるべきであって、安易に公的資金に頼ることは許されません。しかしながら、取引先や経済全体を救うため、公的資金がやむを得ず必要とされることもあり得ます。

その場合、同じ公的資金の投入でも、経営破たん後は戻ってこないお金になりますが、経営破たんの前であれば利益が上乗せされて戻ってくる可能性があります。また、銀行が貸出しできる金額は自己資本の金額に比例するため、公的資金で早めに資本を増やしてやれば貸し渋りや貸し剥がしを防ぐことにもつながります。

以上の教訓から、年初来、私は、財務大臣等に対し、「米国政府に金融機関への公的資金の早期注入を促すべきだ」と国会の質疑で主張してきました(2008年3月19日 財務金融委員会)。ようやく先日のG7で、そのような議論が行われました。米国発の金融危機が日本の経済危機につながらないよう、迅速かつ積極的に実行されなくてはなりません。

と同時に、金融危機が収まった後は、金融機関が収益至上主義に走らず産業育成という本来の役割を十分発揮するよう、金融業界に対する国際的な規制の有り方を再考すべきです。