2日、民主党の金融対策チームの一員として、「埋蔵金」の運用の実態視察のため、財務省の国際局為替市場管理課資金管理室を訪ねました。

 同室では、外国為替資金特別会計(外為特会)の運用を行っています。外為特会は、約100兆円もの資金を円で借り入れ、米国ドルなど外貨に交換し、外貨資産で運用しています。そして運用で得た利益から成る積立金が17.5兆円あり、これが埋蔵金と呼ばれています。

 もともと外為特会は、為替相場が急激に変動したときに政府が為替介入をするために設けられたものです。過去急激に円高が進んだときは、円を売ってドルを買う為替介入取引を大量に行ったため円の借入額も外貨の資産額も増えました。しかし、その後は円安が進んだため、平成16年3月以来このような取引は行われていません。

 にもかかわらず、その後20兆円以上も外為特会は膨らみました。なぜそうなったか?第一の理由は、円安になっても外貨資産を売らなかったこと、第二の理由は、取引をしなくても外貨資産からの利息収入で資産が増えたこと、です。

 財務省の担当者によれば、「日本政府が外貨資産を売ると金融市場が過剰に反応して急激にドル安(円高)が進む危険があり、売るに売れない」とのこと。

 そうすると、外為特会で保有する外貨資産とその原資を調達するための円の借金は膨らむ一方です。注意しなくてはならないのは、外貨資産の価値は金融市場や為替市場の動向により大きく変動し、もし実損が生じれば借金返済ができなくなって国民にツケが回されるということです。実際、最近の米国の金融市場の下落とドル安により8月末では11兆円の含み損が発生しています。

 政府は損失リスクに備えるために17.5兆円の積立金があるのだと言いますが、だとするとこのお金は埋蔵金ではなく死蔵金です。

 国民の目の届かない特別会計で、損失リスクと死蔵金が増えています。

外為特会の仕組みを根本から見直す必要があります。