小沢代表 辞任記者会見

小沢代表 辞任記者会見

11日、小沢代表が突然辞任しました。公設第一秘書が政治資金規正法違反の容疑で逮捕された3月3日以来2か月余り、検察情報を鵜呑みにした偏った報道や、事件とは関係のない公開済みの政治資金の収支を問題視する報道によって、小沢代表への批判・中傷は激しくなる一方でした。

しかし、発端となった事件をよく考えてみる必要があります。小沢代表の秘書は、Aという政治団体から寄附をもらったので、素直にAを「寄付者」と扱ったにもかかわらず、検察は、資金のもともとの出所であるBという企業の名前を書かなかったので虚偽記載の罪に当たると主張しているのです。法律の文言に照らして犯罪に当たるか極めて疑問ですし、政治資金規正法の専門家も「適法」と語っています。

なぜこれが犯罪に当たるのか、検察はきちんと説明していません。私も法務委員会の質疑で政治資金規正法の解釈を質しましたが、法務省から明確な回答は得られませんでした。法律に書かれていない罪で刑事処罰ができるのであれば、戦前のように国民は国家に服従せざるを得ず、言論や行動の自由が奪われてしまいます。

しかも、政権交代がかかった総選挙直前のこの時期に、同様の事例が数ある中で、非権力者側の野党党首の秘書だけを摘発したのです。明らかに時の権力者にとって有利であり、国民が選挙によって政権を決めるという民主主義制度が無意味になるおそれがあります。

要するに、今回の事件の本質は、憲法の大原則である自由主義と民主主義を揺るがしているという点にあります。私は、小沢代表の説明責任や進退を問う前に、まずは、この点を真剣に議論する必要があると考えていました。事件の本質を広く理解してもらうため、私なりに、法律家としての経験を踏まえて最大限努力してきたつもりです。

しかし、一部の報道機関は、このような本質的な問題には光を当てることなく、小沢代表だけを執拗に攻撃の対象とし続けました。これでは世論調査の結果が小沢代表や民主党に厳しいものとなるのは当然ですし、党内に動揺が生じるのも仕方ありません。 小沢代表は、「挙党一致をより強固にするために」自ら身を引く決断をされましたが、代表が身を引く前に、「挙党一致」で危機の克服に取り組めなかったことが残念でなりません。

世の中の関心は新代表を決める選挙に移っていますが、「国民の生活が第一」の政治を実現するためには、国民の生活を脅す権力の暴走を阻止しなければなりません。今回の問題をうやむやにせず、新たな代表のもとでも、検察や報道機関に言うべきことを言っていく必要があると思っています。