2日の財務金融委員会で、渡辺金融担当大臣等に質疑を行いました

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一般質疑ということで、普段この委員会で議論されることの少ない「宙に浮いた年金問題」を取り上げました。これと似た問題に生命保険会社の保険金不払問題があります。今回は、民間に比べて社会保険庁の問題解決姿勢がいかに甘いかを指摘すべく、両問題に関する渡辺大臣の考えを尋ねました。

保険金不払問題で、ある保険会社は、保険金請求の案内を手紙で出していましたが、1か月経っても請求の意思があるかどうか応答しない人が85%に上り、5万人の職員を動員して全件戸別訪問で説明を行わせる方法に切り替えたそうです。その結果、以後2か月間で応答しない人は3%にまで急減。また、請求すると答えた人の90%に保険金の支払いまで終えました。

一方、 社会保険庁が昨年12月半ばから順次送っている 「ねんきん特別便」については、応答しない人は68%(3/11現在)に達していますが、未回答者への戸別訪問は行っていません。また、年金記録の訂正ありと回答した人に対しても、今なお正しい年金を支払っていません。

渡辺金融担当大臣は、所管外である社保庁には直接触れませんでしたが、「保険会社に対しては、契約者の視点に立った対応を求め、必要に応じて行政処分を行う」と答弁しました。契約者(年金加入者)の視点をまったく欠く社会保険庁の対応、もし民間の保険会社であれば免許取消しになることは明らかです。

※ この質疑のことが 日本経済新聞で取り上げられました。

2008/4/3  p.4    生保不払い防止、金融相「業務の改善進展」


【議事録】
169-衆-財務金融委員会-14号 平成20年04月02日

○階委員 民主党の階でございます。
先ほどの古本委員に引き続きまして、私も暫定税率問題について、ちょっと基本的なところだけ二、三、お聞かせ願えればと思っております。
まず、首相の先日の新提案というところで、結局のところ、道路特定財源を一般財源化するという一方、暫定税率は維持するということでございます。この委員会でも議論になっていましたけれども、暫定税率というのは道路整備のために上乗せされている税率だ、そういう基本的な認識があるわけです。そういった中で、一般財源化するのであれば、理の当然として、暫定税率も廃止になるのが当然ではないかと思うわけでございます。
大臣、この点については、どのように暫定税率の維持と道路特定財源の一般化というのが整合するのかということをちょっとお聞かせ願えますか。

○額賀国務大臣 これは極めて、法律に基づいていけばそれは受益と負担の原則でありますから、特定財源化している暫定税率を一般財源化するということは、政治判断をしていかなければならない。
したがって、福田総理は、この秋の抜本的な税制改正時に道路特定財源制度を廃止して、二十一年度から一般財源化をするという方針を打ち出して、これは与野党の間で協議機関をつくるなりしてきちっと結論を出してほしいと。だから、これは一方的ではなくて、与野党の間で国会の場で議論をして、整理をしていただきたいというお願いをしたと思っております。

○階委員 今、政治判断という言葉が出ましたけれども、そうすると、財務省としては、理屈の上ではやはり一般財源化したならば暫定税率もその根拠を失う、そういう御見解ということでよろしいですか。

○額賀国務大臣 暫定税率の水準を維持することを含めて協議をしてほしいということの提案をしているわけであります。暫定税率の水準を含めて、その使い方について御議論をしていただきたいということであります。

○階委員 水準を含めてということは、ゼロとなることも当然あり得べしというお話でよろしいですか。

○額賀国務大臣 水準の維持を含めて。

○階委員 理屈としてどうなのかということについてもう一度、理屈の上では矛盾しないかどうかということをちょっとお聞きしたいんです、暫定税率の維持と一般財源化ということ。それをお聞かせ願えますか。
〔委員長退席、田中(和)委員長代理着席〕

○額賀国務大臣 これは、これまでの国会の議論を踏まえて一般財源化を図るという総理の提案でありますから、一般財源化と従来の道路特定財源の暫定税率水準の維持と矛盾がないように御議論をしていただければありがたい、そういうことであります。

○階委員 それから、暫定税率廃止によって、財源に穴があくという表現を首相も使っておられます。財源に穴があくというのはどういう意味なんでしょうか、お聞かせ願えますか。

○額賀国務大臣 総理の考え方それから我々の考え方は、先ほども申し上げましたように、ことしの秋の抜本的な税制改正時に一般財源化を図る、二十一年度から図る、だから御協議をお願いしたいということでありますから、二十年度予算について暫定税率が期限切れになってしまうと、先ほど来申し上げておりますように、暫定税率だけで地方が一日二十億円、国が四十億円不足していくことになるので、これを最小限にしてほしいという話だと思います。

○階委員 私が思うに、財源に穴があくという話と歳出の予算を維持できないという話というのは別物だと思うんですね。財源に穴があくという意味では、今でも毎年、予算で二十五兆円も穴があいているという言い方もできると思うんです。それを国債で埋めているわけですよ。
ですから、財源に穴があくという表現を使うのであれば、毎年毎年財源に穴をあかせているのは政府じゃないか、そういう批判も当然あるわけだと思うんですね。こういう場合は財源に穴とは言わないんですか。

○額賀国務大臣 だから、歳入の見積もりをして法律を出させていただいて、きちっと歳入の道を国会で開いていただきたいという法案を出しているわけでございますから、それを与野党の間できちっと御議論をしていただいて成立が図られるようにお願いをしているということだと思います。

○階委員 結局、二兆六千億財源に穴という言い方をされていますけれども、それはすなわち歳出の予算を見直しするというお話ではないということでよろしいですか。それとも、歳出は削減しなくちゃいけない、そういうことでございますか。

○額賀国務大臣 これは、今の時点で、何日間こういう事態が続くのか、そういうことを見きわめながら考えていく必要があるというふうに思います。皆さん方の御理解であしたでも解決ができれば、これはきのうときょうの歳入不足でおさまるし、そういう結果によって考えていかなければならないというふうに思います。

○階委員 財務大臣、ありがとうございました。
それでは、次に金融の話をしていきたいと思うんですが、昨年の二月一日に、金融庁の方で全生保会社に対して、過去五年間でいわゆる保険金の不払いあるいは請求漏れが生じているものの件数と金額等について報告を求めました。その結果、全三十八社総額で約九百六十四億円、こういった金額の未払いないし請求漏れがあった、そういうふうに公表されているわけです。
その後、この不払いとか請求漏れの金額についてどの程度支払いが行われたのか、その点についてお聞かせ願えますか。

○西原政府参考人 お答え申し上げます。
生保会社の支払い漏れの件につきまして、金融庁の対応の状況でございます。
御指摘のとおり、昨年の二月に全社に対しまして報告を求めるということをしたわけですが、十一月末までに全社が調査を完了しまして、報告書が出てまいっております。その数字は、今御指摘のとおり、過去五年間で全三十八社ベースでは件数としては百三十一万件、それから総額で約九百六十四億円というオーダーになっているわけでございます。
そこで、これらについての支払い状況ということでございますが、全社が調査を完了した時点におきまして約八四%というような数字になっております。これにつきましては、現在までもその支払いが続いておりますのでさらに進捗しているというふうに思っておりますが、金融庁といたしましては、なお各社からの報告内容を現在精査、分析中でございます。そうした中で、こういった把握された各社の実態、事実関係、さらにそれに応じて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

○階委員 今八四%、これは実際に不払いとかの分について支払われた率を示しているわけでございます。先ほど言ったように、報告の対象としては、不払いないし請求漏れが生じているものの件数とか金額なんですね。ところが、実際金融庁が発表したペーパーでも、八四%、支払いの進捗率までちゃんと各社ともデータを出して、そして公表されているということでございます。
報告の対象以上に各社とも前向きにこの問題に取り組んで、支払いを可及的速やかに行っているというふうに理解できるのでございますが、報告以上に対応が進んでいるという背景には、金融庁の御指導のようなものは何かあるんでしょうか。

○西原政府参考人 私ども、今回のケースにつきましては、なぜそれが起きたのかという原因の分析、やはりこれが非常に大切だと思っております。そこで、何を正せばいいのかという再発防止策を立てる、それと同時に顧客対応について万全を期す、そういったことについて指導しているところでございます。

○階委員 私も民間の金融会社で社内弁護士をしていたので、結局、件数とか金額を把握しただけでは全く問題の解決につながらなくて、やはり最後までお客様に対応して支払って、初めて問題の解決につながるということで、そういう意味では生保の対応は真っ当なものというふうに思うわけでございます。
何でこんなことを言うかといいますと、今問題の社保庁の問題です。こちらは支払い以前のところでまだ逡巡しているということなんですね。また社保庁の問題についてはおいおい触れていきます。
ところで、先ほど八四%という数字がありましたけれども、ある大手の生保会社がどうやって支払い率を上げていくようにしたかということを、ちょっと図を示しながら御説明したいと思います。お手元に資料五というものがあるかと思いますが、これは、某大手生保会社の方で、請求漏れがあったような事案についてどのように対応したかということを示したものでございます。
まず、二月一日、先ほどの金融庁さんからの報告徴求を受けまして、この保険会社では点検センターというものを新設したそうです。そこに約四千六百名の人員を張りつけて、過去五年の保険金の請求事由、新たな請求事由がないか調べたということです。その件数というのは、過去五年の保険金、給付金の請求があった五百五十三万件というものを対象としていまして、五百五十三万件、一件ずつのカルテを四千六百名の人員が張りついて見直していった。それで、新たに請求漏れが生じている可能性の高いもの、十一万七千件について六月の末に請求案内の通知を出したそうです。そして、通知を出すだけじゃなくて、電話も二回かけているということだそうです。それで様子を見ました。
ところが、約一カ月後の七月二十五日の時点で、請求の意思が確認できたものが何と一五%、残りの八五%は請求の意思が全く確認できていない。そこでこの保険会社は非常に焦ったそうです。焦って何をしたかといいますと、それから約十五日間、七月二十五日から八月九日にかけてですけれども、全営業員五万人を動員して、五万人が一軒一軒この対象者のところに戸別訪問していったそうです。それで、十五日間の集中的な戸別訪問の結果、八月九日には請求意思の確認ができたものが七六%まで高まったそうです。
その後も同じように戸別訪問あるいは電話などを行っていって、請求意思の確認をどんどん進めていって、金融庁さんに報告した段階では九七%、当初の十一・七万件のうち十一・三万件についてはお客様の請求意思の有無が確認できたというふうになったそうです。
それで、その十一・三万件確認できたもののうち、保険金などの請求があったものは約七万件あるそうです。その約七万件のうち、九月末時点で、先ほど八四%という数字でしたけれどもこれは全体の数字でして、この保険会社の場合は約九〇%支払いを完了した。さらに、この支払い完了率は直近では九六%程度というところまで高まっているということで、民間の生保会社はこのように、単にデータを集めたりとかあるいはお客さんに通知を出したりとかそういうことだけじゃなくて、最後の最後の支払いのところまで一生懸命やって、一人残らずお支払いしよう、そういうような取り組みをしているようにうかがえます。
こういった取り組みについて、保険会社を監督されている金融大臣の御感想などを伺えればと思うんです。

○渡辺国務大臣 私は、この不払い問題が起きましたときに、保険会社が保険金を払わないでどうするんだと申し上げたんですね。民間の保険会社というのは、こういう問題を放置し、お客様の不信感を買ってしまいますと、次から契約に応じてもらえなくなるわけです。そういうことが積み重なると当然つぶれちゃうんですね。ですから、民間の保険会社は、まさしくこういう問題に真摯に対応してきたと思います。
保険金の支払いというのは、これはもう保険会社にとっては一番基本的な責務であります。契約者に対して適時適切に保険金の支払いが行われるという前提で民間の保険制度はでき上がっているわけであります。
金融庁としては、これまで保険会社の不払いを把握した場合には、その都度、業界における自主的な調査を促してまいりました。また、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保して、保険契約者の保護を図るために必要があると認めるときには各社に対して報告を求めてまいりました。その上で問題があるという場合には、業務改善命令などの処分を行ってまいりました。その後、各社の業務の改善状況のフォローアップを行うといった対応をとってきたところでございます。

○階委員 今長々と生保の取り組みのお話をさせていただいたのは、先ほどもちらっと言いましたが、今の社保庁の、宙に浮いた年金問題の対応等と比較をしたいからであります。
それで、この生保の対応と、昨年の宙に浮いた年金五千万件の問題というものは、問題の性質やその後の対応などについて似通った面があると思うんですけれども、仮に民間の保険会社で、五千万件という宙に浮いた年金記録の問題、保険会社でいえばお客様がお支払いになった保険料がどこに行ったかわからなくなる、だれのものかわからなくなるような問題が起きた場合、金融庁としてはどのような処分になるんでしょうか。ちょっと仮定の話で恐縮でございますが、コメントいただけますか。

○渡辺国務大臣 仮定のお話にはコメントいたしませんけれども、先ほども申し上げましたように、民間の保険会社というのは保険金を払うのが一番大事な仕事なんですね。したがって、その一番基本的なところができていなかったという場合には、これは先ほども申し上げましたように、いろいろな形でサンクションを与えることになります。業務改善命令とか業務停止命令、一番すごいのは免許取り消しということもあります。

○階委員 確かに、保険会社の場合は保険金を支払うのが基本的な業務で、社保庁の場合は、年金の支払いができていないばかりか、その前段階の記録の管理もできていないということで、今の大臣のお言葉からすると、当然のことながら免許取り消しぐらいのことはあってもおかしくないかなという印象を私は持っております。
それで、例えばこの宙に浮いた年金問題が起きた場合、金融庁としては何をもって問題解決がなされたと見るんでしょうか。名寄せ作業が完了したことをもって問題解決したと見るのか、あるいは通知が対象者に送られたことをもってそうだと見るか、あるいは、受給者に支払いがなされ、また加入者には記録の回復がされる、そういったところをもって問題の解決と見るのか、その辺についてはいかがでしょうか。

○渡辺国務大臣 社保庁との比較という仮定の問題についてはコメントいたしませんけれども、保険契約においては、氏名、住所、生年月日、性別、電話番号、こうした個人の識別を行っております。これは、保険業法の規定ではございませんが、本人確認法に基づいて銀行とか保険会社、証券会社、貸金業者等に課せられている義務もございます。例えば氏名、住所、生年月日というのは、まさに本人確認法に基づく義務になっているわけでございます。
一般的に、支払い漏れ調査にあっては、契約者への請求の御案内について、契約者保護の観点から二つのことが言えるかと思います。第一には、迅速かつ確実な対応が行われていること、第二には、住所不明者も含めて、契約者に対しては可能な限り確実に請求案内が到達することであります。
金融庁としては、保険会社に対して、契約者の視点に立った取り組みの重要性を指摘してまいりました。保険会社においても、住所不明者について公務所照会を行った例もあると承知いたしております。

○階委員 ここで、ねんきん特別便で最近公表されたデータを見ていただきたいと思います。
お手元の一枚目の資料一というものでございます。一応パネルも用意してございますけれども、このねんきん特別便というのは、十二月の十七日から送られ始めまして、三カ月強たつわけでございます。それで、三月十一日現在六八%の方が未回答、こういう状況がありまして、先ほど、民間の保険会社に対するいろいろな指導をされていく中で、迅速かつ確実な対応とか可能な限り契約者と接触するとか、そういうことをおっしゃっていたわけでございますけれども、そういった目から見て、この六八%という数字、何か問題があるのかなと。また、その一方、到達していないところも二・三%ございます。
こういった数字をごらんになって、仮に同じような問題が民間であれば、金融庁としてどのような措置、対応をとられるのか、そこをちょっとお聞かせ願えますか。

○渡辺国務大臣 六八%という数字に対してのコメントはいたしませんけれども、民間の保険会社が支払い漏れを起こして、それに関してお客様に請求案内を出した、それに対してどれくらいのレスポンスが返ってくるかということは非常に大事なポイントでございます。保険会社から契約者に対して必要かつ十分な情報が提供され、契約者にとって請求可能な保険の内容や請求のための手続などが容易に理解できるような内容になっていることが大事なことでございます。
金融庁としては、保険会社に対して、契約者の視点に立った取り組みの重要性を指摘してまいりました。各保険会社においても、こうした点に配慮した請求案内が行われているものと考えます。

○階委員 ありがとうございます。
徐々にねんきん特別便の異常さが浮き彫りになるような気がするんでございますが、例えば必要かつ十分な情報提供というものがねんきん特別便ではなされていない。なぜならば、宙に浮いた記録については特別便には書かれていないわけでございます。また、容易に理解できるかという点でありますけれども、先ほどのパネルですけれども、こちらで、今度は回答があった人、二九・七%いらっしゃるんですが、回答があった人の中で訂正なしと答えている人が一九・七%、一九・七%の方が訂正なしと答えているわけです。
それで、この一九・七%、本当に訂正なしなら問題ないんですが、実際はそうではないということで、資料の二をごらんください。この資料の二で、真ん中あたりに、記録の確認結果、割合七八・一%という数字が出ておるんでございますが、これは何を示しているかといいますと、訂正なしと回答した人が本当に訂正なしでいいのかどうかということを入念照会ということで御本人に直接電話なりして確認したそうです。その結果、実際は訂正なしと答えていたにもかかわらず本当は訂正ありだった、つまり御本人の記録であるということが確認できたのが七八・一%にも上っている、そういう実態があるわけです。
さっき大臣がおっしゃったような、容易に理解できるとか契約者の視点に立ったとかあるいは必要かつ十分な情報提供とか、そういった見地から見て今回の特別便というのは、極めて内容も不十分ですし、誤解も与えて、また理解もしがたいということが言えるかと思うんですが、仮に民間保険会社がこのような顧客に誤解を与えるような対応をした場合は、金融庁としてはどのような指導をされるのでしょうか。

○渡辺国務大臣 その程度によっていろいろなサンクションがあり得るかと思います。

○階委員 もうちょっと端的に言うと、宙に浮いた記録のような肝心かなめの部分が抜け落ちた特別便というようなやり方、これは問題ないんでしょうか。

○渡辺国務大臣 社保庁の年金記録の問題についてはコメントはいたしませんけれども、民間において保険金の不払いに対して不誠実な対応をする、そういう保険会社は許しません。

○階委員 不誠実な社会保険庁ということは多分御理解いただけると思うんです。
もう一つ問題があって、資料の三ですけれども、これは社保庁の広告ですけれども、ねんきん特別便が届いたら、やはり社保庁の方もわかりづらいと思っているのかどうか、まず電話をしてくださいということを言っているわけですね、すぐ返事を出しても、さっき言ったように訂正なしという間違った答えをする人が多いものですから。それで、電話を下さいはいいんですけれども、この電話が有料なんです。字が細かくてあれなんですけれども、ねんきん特別便専用ダイヤルの番号が書いてある左下のあたりに、「市内通話料でOK」「携帯OK」とか、そういうことを書いています。
こういう、言うなれば苦情処理、お客様相談窓口、そういったところへ電話をかけるのに有料というのは、これは民間の金融機関だとあり得ないと思うんですけれども、この点については、仮に民間金融機関であれば金融庁としてはどういう対応になりますでしょうか。

○渡辺国務大臣 民間の保険会社の支払い漏れ調査においては、請求案内を受けた契約者が自分の契約内容について的確かつ効果的に把握できる体制を構築することが重要であります。生保各社において体制の検討が進められる中で、中には、みずからの経営判断で支払い漏れ調査に関する専用の電話相談窓口をフリーダイヤルにより開設しているケースもございました。
金融庁としては、契約者による契約内容の具体的な確認方法については各社の経営判断によるべきものと考えております。生保各社がみずからの置かれた状況に応じて最も適切で有効と考えられる対応をとることが重要だと考えます。

○階委員 金融庁の方に、金融機関の利用者の苦情相談といいますか、ちょっと名称は忘れましたけれども、何か金融トラブルの相談の電話の窓口があったと思います。仮にそういうところに、苦情処理窓口に電話したらお金を取られるんです、有料なんですという苦情が届いたとして、金融庁としては、それは個別の経営判断ということで、これは不問に付すわけでしょうか。

○西原政府参考人 それぞれ状況に応じると思いますけれども、やはり問題の重大さ、自分が置かれた立場、そういうことを踏まえて、そういった情報をいかにして収集しなければいけない状況にあるか、その問題に応じて収集のあり方というのはそれぞれ経営判断のもとにおいて考えるべき事柄であるというふうに思っております。

○階委員 ということは、苦情を寄せてきた、金融庁に相談された方には、個別の経営判断ですからということで、特にその後の対応はしないというふうになるわけですか。

○西原政府参考人 ケース・バイ・ケースでございますので断定的には申せませんけれども、基本的には経営判断の問題ということになろうかと思います。

○階委員 それで、百歩譲って有料が経営判断だとしても、このねんきん特別便専用ダイヤル、私も電話してみました。全くつながりません。それもそのはずでして、資料四というところを見ていただきたいんですが、「「ねんきん特別便」についての発送・相談・回答状況」、2で「「ねんきん特別便専用ダイヤル」への相談状況」ということで、電話のかかった割合、応答率という表現になっていますけれども、応答率が出ています。十二月から始まって、これが三月になると四一・一%、ねんきん特別便は累積的に送っていますから、だんだん送られている数もふえているんでございますけれども、四一・一%という数字です。
民間の保険会社、私もちょっといろいろ聞いてみますと、九割程度を目指すらしいんですね、この応答率というところは。例えば九割を目指すのにどれだけの人員をそろえる必要があるかということでございますけれども、先ほど例に出しました大手生保会社の例でいいますと、相談ダイヤルに一日五千件ぐらい来るそうです。それに対して四百人ぐらいの体制で対応しているということだそうです。それで九〇%以上ということを確保しているのが民間の実態。
今回、この社保庁の場合、三月だけで見ますと総呼数五十四万五千件で、これは十一日現在の数字ですから、一日に直すと大体五万件ぐらいということになるかと思います。五万件ということだと、さっきの生保は一日五千件をさばくのに四百人置かなくちゃいけない、一方、社保庁の場合は一日五万件ですから、単純計算しますと四千人ぐらいが必要と思うんですね。ところが、実際のところ何人置いているかといいますと、私もきのう民主党の部門会議で聞いたところ、多少増員したとはいえ、千三百人だそうです。千三百人であれば九〇%なんというのは当然達成できるわけもなくて、この四一%というのもむべなるかな、そういうふうに思うわけでございます。
このような応答率を見て、しかも対応として十分な人員の整備、人員の確保を行っていない、そういうことを仮に民間で行っている場合、金融庁としては何か御指導をするんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。

○渡辺国務大臣 一般論でございますが、民間の保険会社の場合、不払い問題に関して、契約者の視点に立った取り組みの重要性を促してきております。契約者の皆さんがいろいろ電話をかけてきてつながらないというようなことがあった場合には、当然これは契約者の立場に立った取り組みを促すことになろうかと思います。

○階委員 大臣からは何度も契約者の視点に立った取り組みというお言葉が出てきまして、まさにそのとおりだと思います。民間であれば、それができないところは行政庁の処分をまつまでもなく淘汰されていくということだと思うんですが、社保庁にはそういう競争原理といいますか、自然淘汰の原理が働いていないというところで今回の問題につながっているのかなという気がするのでございます。
それで、最後に渡辺金融大臣に御意見を伺いたいんですけれども、個人的な意見で結構ですが、社保庁は今後、この年金の問題、宙に浮いた年金の問題についてどのような取り組み、対応をすべきと思われますか。

○渡辺国務大臣 社保庁の問題についてはコメントはいたしませんけれども、生保会社の支払い漏れ問題については、現在各社からの報告内容の精査、分析を進めているところであります。各社の支払い漏れ調査の対応について、まだ最終的な評価を行う段階にはございません。
一方、現在の生保各社の業務運営の状況を全体として見ますと、これまでの不払いや支払い漏れの問題に対する一連の対応の中で、保険金支払い管理体制についての業務改善が進みつつあると認識いたしております。

○階委員 お立場上、社保庁にどうすべきというお話はできないというのは重々承知しておりますが、それを承知の上でちょっと参考意見を伺いたいと思ったところでございました。
それでは、このような議論を踏まえて社保庁の方にも聞きたいのでございますけれども、このようなねんきん特別便、結局、案内としては必要かつ十分な情報提供もされていませんし、容易に理解できるような内容にもなっていない、それで誤解を多数招いている、そういうことで効果が上がっていないのは明らかだと思うんですね。
先ほどの生保の例に見ますように、書面を送ってよしとするのではなくて、早急に電話なり訪問に切りかえるべきというふうに思うのでございますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○石井政府参考人 お答え申し上げます。
今、委員から非常に多くのテーマにわたりまして指摘をちょうだいいたしました。その中で、今端的にお尋ねのありました、電話と訪問に切りかえるべきではないか、この点についてお答え申し上げたいと思いますけれども、その前に、お許しをいただければ、この五千万件の未統合の記録、これがどういうような背景で出てきたのか、そしてまたこの問題について政府としてどういうような方針で対応することとされているのか、その点、簡潔にではありますが説明をさせていただいた上で、お答え申し上げたいというふうに思います。(階委員「簡潔に」と呼ぶ)はい。
まず、この問題の背景でございますけれども、御案内のように、現時点におきまして社会保険庁のコンピューターシステムで管理している記録が三億件ございます。このうち、平成九年一月以降でございますが、基礎年金番号が導入され、そのもとにある記録が二億五千万件、その基礎年金番号のもとにない未統合の記録、これが五千万件でございまして、その属性というのは、平成九年一月以前は各年金制度ごとに年金番号というものが出されていたものですから、同じ方でも転職を繰り返すと異なる年金番号を複数お持ちになる、そういうような状態があった。
私どもとしては、基礎年金番号を導入して以降、そのようなばらばらの状態のものを一刻も早く基礎年金番号のもとに統合するという責務を忠実に実行してこなければいけなかったわけではございますけれども、この点についていろいろな不十分な対応ということがあり、今日御迷惑をおかけしておるわけでございまして、この点については重ねておわびを申し上げる次第でございます。
それで、記録の内容でございますけれども、実は大変古いものもございまして、厚生年金保険制度というのは昭和十七年に発足して、戦中戦後、そして今日に至るまでのものがずっと積み上がっているわけでございます。そういうかなり古い記録などもむしろ精査の対象にしながらのオペレーションをさせていただいている。
それで、これに対する政府全体の取り組みでございますけれども、御案内のように、昨年、平成十九年の七月五日でございますが、政府・与党の協議会におきまして、これに対する抜本的な解決方策への取り組みというものが政策パッケージということで決定されてございます。私ども、これにのっとってできるだけ忠実に作業をする、そのお約束の期日を守るべくこれまで対応させていただいているというのが実情でございます。
そこで、大変長くなりましたけれども、お尋ねのねんきん特別便の関係でございます。
これは、今申し上げた七月五日の政策方針、これにのっとって、昨年の十二月からことしの三月まででございますけれども、まずはプログラムを開発して名寄せをやり、そしてその結果として判明した記録、これをその持ち主と思われる方々にお知らせをする、これをずっとやってきてございまして、本年三月末までに送付は完了させていただいたところではございます。ただ、御指摘のように、なかなか私どもの方の広報、周知、これが至らない点もあろうかと思います。そういうこともありまして、先ほどお話がございましたように、ねんきん特別便を御送付した方のうち、訂正なしということで御回答をいただいた方が相当数ございます。
現在はさらにこの回答数が上昇しておりまして、受給者でございますけれども、六〇%を超えるところまで参っているわけでございますが、その中身を分析してみますと、私どもの方からしますと、その方以外にほかの方にお送りはしていない、かつ、その方に出ていますということでお知らせをした記録、記録そのものはお見せしていないわけでございますけれども、私どもが管理していて、その方に、あなたの記録はこうですということで特別便でお知らせした記録、これとその記録を時系列で対応させてみますとほぼ矛盾なく合致する、そういう意味で、非常に蓋然性が高い方というのが相当程度おられて、先ほども御紹介いただきましたように、かなりの数に上るわけでございます。
それで、そういうような訂正なしの御回答をいただいた方のうち、内容から見てその方のものである確率が極めて高いという方につきましては、改めて私どもの方から電話を申し上げ、あるいは訪問するということなどによりまして直接御本人と接触をする、そういう入念的な照会作業というのを進めさせていただいております。
このオペレーションでございますけれども、これは引き続き進めていこうというふうに思っておりまして、蓋然性が高くない方については特別便を送付し続け、いろいろな方法で記録の内容についての御確認をちょうだいしつつ、蓋然性の高い方については、今申し上げたような電話あるいは訪問という形での直接確認、これをきちっと進めていくことで進めたい、これを優先的な課題というふうにしたいということで取り組んでいるというのが状況でございます。
それで、お尋ねの趣旨は、それ以外の方についてもそういうことをすべきではないかという意味合いもあろうかと思うわけでございますけれども、人員の方が、大変恐縮ではございますけれども限られてございまして、したがって、そういう中で優先順位ということで考えますと、今申し上げたように、相当数に上りますその方のものである可能性が極めて高い方々、この方々で、要するに訂正なしという回答をお寄せいただいた方々、まずはこの方々に対する取り組みというのを何しろ先行させたい、かように考えているわけでございます。

○階委員 人員が足りないからできませんということは、民間じゃ通用しない理屈なんですね、足りなければ人を雇ってでもやれという話で。
そもそも、根本に置かれるべきは、社保庁の人員とかそういう問題じゃなくて、年金制度に対する信頼を回復するというのが最大の目標だと思うんですね。今のままで回復できるんですか。

○石井政府参考人 お答え申し上げます。
今回のこの年金記録の未統合問題というのは、委員おっしゃるように、公的年金制度に対する信頼というものを非常に損なった事案だろうというふうに私どもも思っております。とりわけ、先ほど来生命保険会社における御対応の話がございました。保険者機能、いろいろな定義が可能かと思いますが、その中でも基本の業務たるべき記録の管理、ここのところで不十分な実情が存在しているということは大いに反省すると同時に、そこのところの不十分な点をできるだけ早く回復していかなければいけないという気持ちで取り組んでいるわけでございます。
それで、具体的な情報の提供の仕方でございますけれども、先ほどの御説明に加えさせていただきますと、まさにその方のものではないかと思われる、そういう要するにぴたりとした方、この方については直接的な働きかけを電話なりあるいは訪問でさせていただく、これを優先的に進めたいと思っております。
それ以外の、例えば一つの記録を複数の方に可能性ありということで御連絡しているケース、こういうケースにつきましても、電話なりあるいは社会保険事務所の窓口の方にお越しいただいて、何しろ御本人であるということが、御本人というのは、特別便をお送り申し上げたその御本人であるということの確認ができますれば、そのことを前提に、実は何年何月にどこどこに所在している何という名前の、例えば事業所にお勤めであったという記録であるとか、あるいは同様に、いつからいつまで何県何市のところにお住まいだったときの国民年金の記録であるとか、非常にそのものずばりの記録の伝達をさせていただいております。
そういうことで、三月末までにお送り申し上げた特別便に関する情報提供は引き続きしっかりやっていく。その他いろいろな方法で解明しなければいけない多数の記録についても解明の取り組みをすることで、何とかこの記録問題についての一日も早い完了といいますか決着をつけたいということで取り組まさせていただいているということでございます。

○階委員 記録を解明して終わりじゃないと思うんですね。支払うまでやって初めて問題が解決されてくるということなんでございますけれども、支払うという意味での問題解決の時期、これを具体的にどのように目標設定されておりますでしょうか。

○石井政府参考人 お答え申し上げます。
まずは解決ということの意味でございますけれども、これは私どもの方も、お一人お一人の年金記録がきちんと点検されまして、その上で正しく年金が支払われるということであるというふうにとらえてございます。
その上で、その時期をどういうふうに考えているかということでございますけれども、大変恐縮でございますが、取り組みそのものは、先ほども申し上げましたように、昨年七月五日の政策パッケージ、これにのっとって進めているわけでございまして、昨年十二月十七日より、まずは急がれる高齢者の分、受給者分ということで特別便の送付を始めてございます。それで、今それを受け取っていただいて内容を御確認いただき、また古い記録でもありますので、私どもの方からも御連絡をいただければ情報提供するというようなことで、一つ一つ統合の作業を進めております。
ちなみに、特別便でお送りしました人数と件数でございますけれども、記録の件数、トータルは五千九十五万件でございますが、ねんきん特別便で三月末までにお届けしましたのは一千百七十二万件、千三十万人の方々にお送りしてございます。
まずは、この方々に対する記録の確認、私どもの方でできる統合関係の処理、そういうものをできるだけ早く進めたいということでございますけれども、なかなか、古い記録もございますし、記憶を呼び起こしていただくという点で時間がかかるということもございますので、大変恐縮でございますが、いつ終わるというような終期の設定については、これはできる状況にはないということをぜひとも御理解いただきたいと思います。

○階委員 そういうことだと国民の理解は得られないと思いますよ。
年金受給者の人は、本来もらえるお金をずっと棚上げにされているわけです。もしいつもらえるかわからないのであれば、せめてその先延ばしされている分は利息をつけて払うのが筋ではないかと思うんですけれども、こういう利息をつけるという考えはないんですか。

○石井政府参考人 お答え申し上げます。
おくれた期間についての利息の付与の件でございますけれども、先生も御案内のことかと思いますけれども、会計法におきましては、そうした例えば遅延に伴う対応でございますけれども、一般に利息を付すというようなことは扱いとしてなされていない。
具体的に申し上げますと、年金の関係でございますけれども、例えば受給権が発生して請求があった、その時点がおくれた。おくれて、その後また事務手続に時間がかかった。それで、裁定され受給権が成立したとして、例えばその間の、要するに期間のいわば補償を利息という形でするかしないかという点について申し上げれば、これは従来からも取り扱いとして、要するに受給権が成立した、確定した、その時点以降においてそれは考えられるけれども、それまでの間についての例えば利息等の措置というのは、これはその対象としない、こういうような扱いになっているというふうに承知してございます。

○階委員 いや、ちゃんと訂正があるということを言っていても、それが記録統合が実際にされて、それで年金が支払われるまでに半年とか一年かかっているという現実があるらしいんですね、これも私どもの部門会議で聞いた話でございますけれども。それで、このねんきん特別便、送られた方も既に訂正ありという答えを送っている方についても、まだ実際に年金を払われている方はいないというふうに伺っています。
そういう訂正ありという答えを出した人というのは、自分としてはやるべきことをやっているわけですよ。にもかかわらず、社保庁の一方的な都合で支払いを受けられない。これは財政法云々の話じゃなくて、完全に社保庁の責任でありますから、こういう人に対しては利息なりをつけるべきではないでしょうか。

○石井政府参考人 お答え申し上げます。
厚生年金保険法あるいは国民年金法上でございますけれども、自分にはこういう記録があって、これを統合してほしい、そういう御申告がある場合ということで申し上げますと、制度的には、大変恐縮ではございますけれども、そういうような形で御申請がありましても、それを私どもの方で調査いたしまして、そしてその記録の内容がそのとおり正しいということであって初めて社会保険庁長官による裁定というのがなされるわけでございまして、その裁定がなされて初めて遅延問題をそこで論ずることができる、このような構造のものではないかというふうに考えております。

○階委員 先ほど渡辺大臣からお話が出ていた契約者の視点というものが、社保庁には全く感じられないわけですね。
最後にもう一つ指摘しておきたいんですが、年金の方でも民間の保険と同じように請求漏れというのが多々あるわけです。お手元にお配りしている資料の最後のページですけれども、これは請求漏れで時効になった金額がずっと出ているわけでございます。これが、例えば直近、一番右下ですと、平成十八年度で三百三十三億円という多額の年金が時効で消滅している。
これは、私も民間の金融機関におりました、銀行におりましたけれども、銀行なんかだと、預金が時効にかかったからといって、その時効を使ってお客さんに、あなたの預金は消滅しましたなんということは絶対言わないわけです。また、保険会社もそうだとおっしゃっていました。時効の援用というのはあり得ないと言っています。何でこういうものについても、見直しされないんでしょうか。契約者の立場、受給者の立場に立って、こういう時効というものは見直すべきではないかと思うんですけれども、この制度が存置されている積極的な理由というのはあるんでしょうか。

○石井政府参考人 お答え申し上げます。
まず、今議員がお触れになりました資料でございますけれども、これは一つの推計でございます。さはさりながら、概数としてはこのようなものかというふうに認識してございます。
それで、まず、このような形で相当額のものが発生することがないようにということで防止措置を講じております。一つは、平成十六年三月でございますけれども、五十八歳という受給年齢よりも数年前の時点においてその方の履歴というものをお送りして確認していただいて、間違いがあれば御連絡いただきということで、早目の準備をするという趣旨での御連絡。それからもう一つ、六十歳なり六十五歳の時点で、その三カ月ほど前ですが、もう一回、ターンアラウンドということで御連絡を申し上げるということで、要するに、受給権が到来してもなお気がつかないという状態が生じないような取り組みをさせていただいているということをまず申し上げたいというふうに思っております。
その上で、請求漏れで時効になった、こういうケースについての時効援用との関係でございます。
先ほども若干申し上げましたように、従来は、受給開始年齢に達してから請求しないままにしていた場合は、時効に関しましては会計法の五年の強制時効の適用を受けまして、特に国が債権者となる場合には、その時効の援用を要せず、あるいは利益を放棄することができない、こう規定がございますために、五年を超える部分の年金は自動的に時効により消滅し、受給することはできない、こういうことになっていたわけではございますけれども、これに関しましては、これは先生も御案内のように、昨年制定されましたいわゆる年金時効特例法の中で、年金受給権に関しまして、この会計法の適用をしない法律措置が講ぜられているわけでございます。
時効期間そのものはなお五年ということではありますけれども、国が時効の援用をするかどうかの判断ができるように制度化されたということでございまして、年金受給権発生から請求までに五年を超えていても自動的に時効で消滅するというようなことはなくなった、制度的にはそのように措置されているということでございます。

○階委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、きょう民間の保険会社の例を引き合いに出して、いかに社会保険庁の今回の宙に浮いた年金問題への対応が異常であるか、民間では考えられないようなずさんな対応をしているか、これは問題を起こしたこと自体もずさんなんですけれども、その後の対応、今現在進行中の対応にしても、民間の常識からすると考えられないことであるということを私は強く指摘させていただき、そしてこれを見直していただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。