27日、来年度予算案と関連法案が与党の賛成により衆議院本会議で可決。これに先立ち、私は、財務金融委員会で関連法案に対する反対討論を行いました。

内容は以下のとおりです。

私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、「所得税法等の一部を改正する法律案」および「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案」に対し、反対の立場から討論をいたします。

本題に入る前に、中川前財務大臣が「もうろう記者会見」で国益を損なったこと、本委員会を無断欠席するなどした上に突然辞任し、国会審議に多大な遅延をもたらしたことに遺憾の意を表します。

麻生総理は、100年に1度の経済危機を克服するとかねがね言われていますが、危機を克服するどころか内閣の中枢たる財務大臣が全世界に醜態をさらし、危機を増幅しております。「麻生内閣に日本経済の危機管理能力はない」と言わざるを得ません。

さて、今回の法案に対する反対の理由を申し上げます。

まず、所得税法等の改正案ですが、消費税を含む税制の抜本改革については、附則104条において、「経済状況を好転させることを前提として」、「平成23年度までに必要な法制上の措置を講ずる」と記されております。

「経済状況を好転」、「必要な法制上の措置」とはどういう意味なのか、委員会審議を通じても結局判然としませんでした。しかも、基礎年金の国庫負担割合を引き上げるため平成21年度までに安定財源を確保するはずであったにもかかわらず、後で述べる金利変動準備金の流用で2年間賄うばかりか、税制抜本改革がなされなかった場合のリスクヘッジとして、未来永劫臨時財源でしのぎうる内容の国民年金法の改正案も今国会で審議されます。

このような抜け道だらけの法案では、「将来世代に負担を先送りしない」と国民に胸を張って言えないのではないでしょうか。むしろ、いたずらに不安や憶測を煽るだけで、かえって経済の足を引っ張りかねません。他にも、多々問題はありますが、このような無用かつ有害な附則を設けたという一点だけでも、政府与党の経済危機への危機管理能力の欠如を如実に示すものであり、反対の理由として十分であります。

次に、財政運営特例法案ですが、民主党は、特別会計の余剰金・積立金は過大であり、埋蔵金が眠っていると指摘をしてまいりました。特に、財政投融資特別会計の金利変動準備金について、総資産の1000分の50という目標も過大であると指摘してまいりました。
しかし、政府は民主党の主張に対し、「目標は適正であり切り下げることはできない」、「目標超過分も国債の償還にしか使えない」と繰り返し答弁してきました。ところが、このたびの経済危機を理由に、「背に腹は代えられない」として180度方針転換し、先の補正予算関連法案での定額給付金をはじめ、さまざまな用途に湯水のごとく使おうとしています。

「背に腹は代えられない」としても政権を代えることはできます。方針転換するのであれば、麻生内閣は退陣して野党に政権を禅譲するか、解散総選挙によって民意を問うのが筋であります。これまで埋蔵金を隠し続け、無用に国の借金を膨らませてきたことへの政府の責任がはっきりしない以上、本法案にも反対せざるを得ません。

「規制緩和」と「小さな政府」を目指した小泉構造改革は、景気がいい時は強者が利益を先取りし、景気が悪化すると弱者にツケが回ってくるという社会的公正に著しく反する結果をもたらしました。構造改革によってプライマリー・バランスを2011年度に黒字化するという政府の旗も、修復不可能なほどボロボロになっています。

「ボロボロの旗」を掲げながら政権にしがみつき、もうろうとして迷走を続ける麻生政権はもはや限界です。潔く「白旗」を挙げて野党に政権を禅譲するか、解散総選挙によって民意を問うか、いずれかの選択を一刻も早く行うべきです。それこそが与謝野大臣の信念たる「堂々たる政治」であると申し上げ、私の反対討論を終わります。