9:00~10:20

東北電力岩手支社との連絡会議

東北電力

軽石義則第1区総支部参与、吉田洋治県議会議員も同席し、東北電力岩手支店の三浦支店長を始めとする同社関係者約十名と連絡会議を行った。

  1. 県内約18万の電力総需要家戸数中、3月20日時点での停止戸数(停電)は約4万1千(内推定流出戸数2万2千)で、設備稼働地域には全て送電が行われている。
  2. 県内全ての変電所に電気が届いている。
  3. 設備に甚大な損害を受けた沿岸部では流出地域以外でも、配電体制を整えるのには最低1ヶ月はかかりそうである。
  4. 設備の再構築に向けて深刻な資材不足が予測される。
  5. 主要な避難所には移動高圧電源車を配置するよう努力しているが、台数に限りがあることと燃料不足が足枷になっている。

等々が報告された。

しなたけし代議士は、不眠不休での復旧作業を労うとともに、復旧用資材の調達や燃料の確保に向けて国に緊急対応を要請することを言明した。

また、会議では、現在着工されつつある仮設住宅のかなりの部分が電力供給のみならず上下水道や通信等のライフラインが壊滅状態にある沿岸部被災地に予定されていることに対する懸念も示された。代議士は、全てのライフラインの復旧見通しに基づいた被災者の避難場所確保計画の必要性を国と県に進言すると応えた。
11:00~12:00

岩手銀行

岩手銀行訪問

岩手銀行の高橋頭取と菅野専務を訪ね意見交換を行った。

高橋頭取から、同行も沿岸南部を中心に甚大なる被害を受けたが、オンラインン不通、停電等の不便を克服しながら残された営業可能店でできる限りの対応を行っているとの現状が報告された。また、既に直面している問題、今後克服していかなければならない課題として以下のことが示された。

  1. 沿岸部の取引先では、帳簿類に加え、受取手形等も津波により流出しており、資金繰り計画が全く立たない状況にある中、支払手形が次々と期日を迎え不渡りとなる危機に瀕している
    岩手銀行は、通常であれば条件変更手続きが必要な返済猶予等に経営者との面談のみで対応する等して出来る限りの対応をしている。金融庁からは「特段の配慮をするように」との通達があったのみで、要不良債権処理の要件緩和等の処置を望む。
  2. 営業資産の全てを失っても事業再開に強い意欲を持つ経営者に対し、無担保で融資が実行できる制度を用意しないと沿岸部に雇用を支える産業が無くなってしまうことが懸念される。多大な金額が投入される災害復興が有効なものとなるためにも、産業再生・再配置計画も同時進行する必要がある。
  3. 沿岸部から内陸部への移住希望者に対し、銀行としては住宅ローンの要件緩和、取引先とのネットワークを活用した空き住宅情報の提供および職業の斡旋等の支援が考えられる。

これらの報告に対し、しなたけし代議士は、被災企業への融資に関してはリーマンショック時に採られた日本政策銀行及び商工中金経由での政府保証無担保貸付制度を拡大し代理貸し銀行を地銀に広げて対応する必要があるとの認識を示し、また、不良債権処理に関しても特例措置の必要性に理解を示し、その早急な実現に向けて最大の努力を惜しまないとした。

また、沿岸部のコミュニティー再生には市街化区域の見直しや産業の再配置も含め安全性を重視した計画が必要で、沿岸部からの内陸部への移住者の雇用を創造するためには、特区制度を活用しての県内への積極的な企業誘致等が必要との認識も共有された。

面談の最後は、同頭取の「過去の前例にとらわれない国の対応を期待します」との言葉で締めくくられた。
12:50~13:45

矢巾町役場訪問

矢巾町

高橋昌造県議も同行し、矢巾町の川村町長を始めとする同町災害対策本部の方々と面談するために矢巾町役場を訪問した。

矢巾町の被害が微細であったことが報告されたあと、同町による沿岸部被災者救援のための取り組みが報告された。主なものは以下の通り。

  1. 被災後、沿岸部8町村へお米等の支援物資を矢巾町独自で配送。現在も、深い交流がある普代村には継続している。
  2. 現地への配送が滞っていると伝えられているアピオ(滝沢村:県への救援物資の保管センター)にある支援物資も、県に配送先を報告することで許可を受け自前で普代村に輸送実績あり。県では被災地の情報把握が遅れている模様。
  3. 沿岸部からの緊急避難者向け避難所は、3箇所、計300名分を用意していると県に報告済み。
  4. 19日に紫波町と共同で大槌町に出向き、被災者の受け入れを開始(現在、紫波町に83名)。
  5. 仮設住宅候補地として、既にライフラインが整備されている地区、約10haを確保していることを県に報告済み。
  6. 県の了承が得られれば即座に行動できるボランティア組織も編成済み。
  7. 雇用促進住宅に計23人が被災地から避難している(内、1家族8人は福島から)。同住宅にはまだまだ受入の余裕がある。

矢巾町は、自前の衛星通信携帯電話を活用し、限定した町村に対し粘り強く通信を試みて、現地の状況を把握することに成功したため、物資輸送や被災者救援にいち早く乗り出せた様である。また、矢巾町では、今後、避難場所への自家発電設備の設置燃料の備蓄に取り組んでいくとのことであった。

しなたけし代議士は、同町の取り組みに感謝の意を表明するとともに、今後の被災時の救援計画等に市町村も積極的に国や県の活動に組み込むことが必要であると認識したことを伝えた。
14:00~15:00

紫波町の災害対策本部

紫波町では、一部上下水道設備に被害が見られたが大きな問題とはなっていないとのことであった。

矢巾町で聞かれたように、紫波町では大槌町吉里吉里地区の被災者83人を既に受け入れているが、想定外のことが多発していることが以下の通り伝えられた。

  1. 受入中の避難者のうち2割が被災前から糖尿病やうつ病等の持病を抱えており、医療対応が不足している。災害時には、協会等を通じ看護士資格を有する方々へボランティアのお願いを迅速に行えるような体制を構築する必要がある。
  2. 同町は、県に対し350人の沿岸部からの避難者受け入れ可能と報告しているが、受入施設が12箇所に分散していることから実際には人手が足りなくて対応は難しいと感じている。現在、一番大きい受け入れ施設1ケ所で83人を保護するのに職員10人を必要としている。
  3. 緊急時には移動用の燃料確保が難しく、災害対策に取り組む町職員の通勤もままならない。

加えて、上下水道の浄水に使われる次亜塩素酸ナトリウムの在庫が不足していること、火葬場の燃料が不足していること、中小企業が経営の危機に瀕しておりつなぎ融資等の特例措置が必要であること、教育施設の耐震化を迅速に進めるべきであること等も伝えられた。

しなたけし代議士、紫波町の取り組みに感謝の意を表すると共に、今回寄せられた被災者受け入れの現場からのフィードバックを、これからの被災者受け入れ準備に活かせるよう国や県と連携し取組んでいくと語った。