平成9年から施行された臓器移植法は、“臓器移植を適切に行う場合に限り脳死を人の死”としてきました。脳死=人の死ではないため、脳死状態で臓器提供できる条件を厳しくしていました。

すなわち、脳死前の本人の書面による同意を家族が拒否しないことを必要とし、本人が同意できる年齢は15歳以上としています。その結果、小さい子どもは国内で心臓などの臓器の提供を受けることができず、海外で移植手術を受けるしかありません。しかし、最近は各国で臓器が不足しており、国連は海外移植の規制を決議しました。

このようなことから、今国会で臓器移植法の見直しの気運が高まり、18日の衆議院本会議において、以下の4つの案で採決されることになりました。

  • A案 脳死を一般に人の死とする。臓器提供ができる場合として、新たに、本人が拒否していないときに家族の書面による承諾があることを追加する
  • B案 本人が臓器提供に同意できる年齢の下限を12歳に引き下げる
  • C案 脳死の定義を厳格化し、子どもの臓器移植については別途検討する
  • D案 臓器提供ができる場合について、15歳以上は現行どおりとしつつ、15歳未満は家族の書面による承諾と医療機関の確認で足りるとする

階議員は、

15歳未満の臓器提供の一律禁止は見直し、子どもが国内でも移植を受けられるようにすべきだ。ただし、現時点でA案のように脳死を人の死とするのは抵抗があり、15歳以上については現状どおり本人の同意を要求しつつ、免許証や保険証に同意欄を設けることで提供者を増やしていく

と、D案に賛成の立場でした。

結果はA案が263票で投票数の過半数を超え、B案以下の採決を待たずに可決されました。

私はA案支持でしたが、やはり考えることが多かったように思います。勉強会で、脳死状態でも身長や爪、髪などが伸びたりするし、涙も流すということを知りました。自分が脳死状態になったら“死”としてみなして臓器を提供したいと今は思いますが、家族がそのような状態になったら“死”として扱われることに抵抗を持つと考えます。

でもこれから先、日本でも臓器移植が広まるためにはA案が一番私の中ではしっくりくる気がしました。臓器移植について学んだこと、考えたことを今日だけの話にしないでこれからも関心を持ち続けな

くては。そう思いました。このような勉強をする機会を与えてくださった階議員、どうもありがとうございました。

階事務所インターン 東京女子大学3年 松本麻里江