DSC0320722日(現地では21日)、17日間にわたったリオデジャネイロ五輪が幕を閉じました。日本勢は史上最多の41個のメダルを獲得する大活躍でしたが、メダルに届かなかった選手も大健闘しました。すべての選手たちとそれをサポートしたご家族など関係者の皆さん、本当にお疲れ様でした。

数々の熱戦の中で、もっとも驚いたのが、陸上男子400メートルリレーの銀メダルでした。ボルト選手のいるジャマイカには敗れたものの、100メートルの個々のタイムで上回るアメリカやカナダを合計タイムで上回った走りは、見事としかいいようがありません。

快挙の要因として、①独自のバトンパスの技術を持ち、他国よりも早くバトンをつないだことが挙げられています。しかし、それ以外にも、②ジャマイカ人を父に持つケンブリッジ飛鳥選手をはじめ、多様で実力ある選手がそろったこと、③2年前のアジア大会で中国に敗れて以来、過去の成功体験に囚われず新たなバトンパスの方法に取り組んだこと、なども大きかったと思います。2020年の東京オリンピックでは金メダルも期待できます。

2020年といえば、昨年の秋に安倍首相が掲げた経済成長の目標、「GDP600兆円」の達成期限でもあります。リオ五輪の直前に内閣府が公表した「中長期の経済財政試算」によると、今後ある程度景気が回復しても2020年度の名目GDPは550兆円程度であり、目標達成への道筋が見えません。

そこで、今回の男子リレーの快挙から以下の点を学ぶべきと思います。

①今回のバトンパスのように、日本独自の技術を改善、発展していくため、安定した身分で長期間かけて技術を磨ける仕事を増やす。

②多様で能力の高い人材を数多く育てるため、先進諸国に比べて低い教育予算を増やす。

③過去の成功体験に囚われず、労働者人口が減少する現実を直視して戦略を立てる。

安倍首相は総額28兆円にのぼる経済対策を打ち出しましたが、公共事業の積み増しなど過去の成功体験に囚われ過ぎています。人手不足の中で発注を増やしても、入札する事業者はなかなか見つからず、見つかったとしても発注価格が上がってしまいます。そのお金があるなら、雇用の安定と人材育成にかけるべきです。

現在の日本で経済成長を持続させるのは容易ではありませんが、リオ五輪の選手たちは困難な目標に挑み、達成してくれました。2020年の東京五輪を目指してさらに精進を続ける選手たちに学び、彼らにふさわしい舞台をこの4年間で創らなくてはなりません。