DSC02722高校野球の地方予選が佳境に入っています。岩手県では、盛岡大附属高校が2年ぶり9回目の甲子園出場を決めました。心よりお祝いを申し上げ、全国大会での活躍を祈念します。

一方、岩手県の公立高校は、平成6年の盛岡第四高校を最後に、22年も夏の甲子園から遠ざかっています。今大会でも、盛岡工業高校が前回優勝の花巻東高校を破る活躍を見せましたが、準々決勝、準決勝と進むにつれ、公立高校は姿を消していきました。なぜ公立高校は夏の甲子園に手が届かないのか?練習環境や選手層の厚さの違いもありますが、傍から見て感じるのは、体格の違いです。特にバッティングは、体重の重さが飛距離につながるため、体の大きい選手が断然有利です。オールスターのホームラン競争で優勝した大谷選手も、身長が高くてスリムに見えますが、100キロも体重があるそうです。

大学野球の世界で、強豪との体格差を埋めるために努力を続け、成果が現れてきたのが東京大学の野球部です。体を大きくするために、選手たちは一日7合(約1キロ)のおコメを食べるそうです。単純計算すると年間約6俵(360キロ)になります。食生活の変化や高齢化により、コメの1人あたり消費量は、ピークだった昭和37年度の半分、いまや年間で1俵弱です。その6倍の量を食べるわけですから、効果はてきめんです。

私が現役時代よりはるかに体格がよくなり、東京六大学の他のチームと比較しても見劣りしなくなりました。昨年春までは連敗ワースト記録を更新していたのが嘘のように、この春のリーグ戦では明治、法政、立教から勝利し、互角の試合も数多くありました。先に行われた日米大学野球では、3年生の宮台投手が日本代表として先発し、最速150キロの直球で米国打線から3回途中までで5個の三振を奪う活躍を見せました。

現在、日本のコメの消費量は年間8万トンずつ減少しています。TPPが始まれば、アメリカ、オーストラリアから、さらに年間8万トンもの安いコメが輸入されます。政府は国内でコメが余って価格が暴落するのを防ぐために、飼料米への転作を促したり、備蓄米を増やしたりする方針ですが、主食用のコメの消費量を拡大する取組みは不十分です。

仮に全国の高校球児が東大野球部と同じようにおコメを食べれば、年間のコメ消費量は約5万トン増える計算です(全国の高校硬式野球部員数16万7千人×一人年間5俵を増食)他のスポーツにもこの取組みが広がれば、さらに消費は伸びます。①東大野球部がおコメを食べて活躍⇒②高校野球など他のスポーツ選手にも波及⇒③コメの消費が伸びて稲作農業が活性化 という好循環を作りたいと思っています。そのために、東大野球部がさらに勝利を重ねられるよう、おコメの産地である岩手のOBとして応援していきます。