2015.1.25 郷原先生④22日、衆議院本会議で安倍首相の施政方針演説などが行われました。首相の後、外務大臣、財務大臣と演説が続き、最後の甘利経済財政担当大臣の演説を前に、民主党など野党6党は席を立ちました。

周知の通り、甘利大臣とその秘書がURへの口利きの見返りに建設業者から多額の金銭を受け取ったと報じられています。本会議中も、野党側が演説の前に甘利大臣からきちんと疑惑につき説明して欲しいと要求したのに対し、与党側が応じなかったため抗議の行動に出たのです。

甘利大臣本人は、21日の参議院の決算委員会で、問題の建設業者に大臣室で会ったことは認めつつ、「何をしたかは記憶があいまいだ」と金銭の受け取りの有無を明らかにしませんでした。ある人に会ったという記憶があるなら、その人からお金をもらったかどうかは、なおさら記憶があるはずです。にわかに信じがたい答弁であり、疑惑は深まるばかりです。

今回の件が真実だとすると、近年国会で取り上げられてきた、政治資金の出入りに関する「虚偽記載の罪」にとどまりません。国会議員の権限を利用して公務の公正を害し、違法に利益を得た「あっせん収賄罪」や「あっせん利得罪」という汚職の罪が成立する可能性があります。大臣だけでなく国会議員の進退に関わる極めて重大な問題なのです。

にもかかわらず、甘利大臣はすぐに説明責任を果たさず、「一週間以内に調査結果を公表する」として問題を先送り。安倍首相も甘利大臣を続投させ、来月4日にニュージーランドで行われるTPPの署名式に参加させようとしています。

施政方針演説の最後に、安倍首相は、「国民から負託を受けた、私たち国会議員は、正々堂々と議論し、逃げることなく答えを出していく。その責任を果たしていこうではありませんか。」と、与野党議員に向かって声高らかに呼びかけました。

しかし、その呼びかけは、まずもって安倍政権の中枢を担う甘利大臣に向けられるべきです。「甘利明(あまりあきら)」という名前とは裏腹に、自らの金銭疑惑についても、TPPの交渉経過についても、あまり明らかにしません。

甘利大臣だけでなく安倍首相自身、あまりにも身勝手で不都合な情報を明らかにしません。憲法改正、安保法制、軽減税率、株価急落、財政再建、格差拡大。日本を左右する問題に、安倍首相が逃げることなく答えを出すよう、予算委員会に向け万全の準備をしています。