28日、国会では安倍首相の「施政方針演説」が行われました。例年は、1月の通常国会の開会直後にこの演説が行われます。しかし、今年は、補正予算の審議を最初に行うため、通常国会の冒頭に安倍首相は「所信表明演説」を行っています。

その所信表明演説では、アベノミクスの宣伝が中心で、震災復興や国民の暮らし、政治改革など国政の重要課題についてほとんど触れられませんでした。そこで今回の施政方針演説では、所信表明演説で踏み込まなかった課題について、首相がどのような政策を述べるかに注目していました。

まず、震災復興については、「復興を加速する」と言うものの、具体的な政策としては「復興予算19兆円を見直し、必要な財源を確保する」ことしか挙げられていません。震災で被災した市町村からは、復興を加速するためには、予算を増やすことよりも、職員を増やしたり、移転先の土地を迅速に取得できる制度を作ったりすることを求める声が多いのですが、それに対する答えはありませんでした。

国民の暮らしについては、「家計のための経済成長」をうたいながら、具体的な政策としては、黒字の企業が利益を従業員に還元する場合に還元額の1割分だけ税金を減らすことしか出ていません。また、アベノミクスで物価上昇率2%を目指すことは、家計の圧迫につながりますが、その対策も示していません。

政治改革に至っては、党首討論という公の場で安倍首相自身が約束したにもかかわらず、「議員定数の削減や、選挙制度の見直しについても、各党各会派で話し合い、しっかりと結論を出していこう」と他人ごとのように述べていました。

見出しだけで内容の伴わない某週刊誌の広告のような演説に、「アベノミクス」というより「アベノミス」という印象を抱きました。私を含め民主党は、「改革継続」、「積極提案」、「現場主義」の三原則に基づいて、これからの国会審議で「アベノミス」を質し、正していきます。