法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価書
20日、総務省が「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価書」を公表しました。(詳しくは、http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/000056940.html)
この政策評価には、思い入れがあります。政権交代で総務大臣政務官になったばかりの頃、最初の事業仕分けがありました。その際、総務省の行政評価局が複数の役所にまたがる様々な政策を検証し、改善を促す「政策評価」という仕組みについて、仕分け人の方々から「機能強化すべし」とのご指摘を受けました。
私は、担当政務官として直ちに改革に取り組み、それまで政策評価のテーマが官僚主導で決められ、評価の仕方も当たり障りのないものになりがちだったものを、政治主導によって官僚の抵抗の強いテーマにも踏み込むようにしました。
具体的には、政務三役と有識者の会議で今後行う政策評価のテーマを決め、評価の仕方にも政治家や有識者が意見を述べるようにしました。その典型が、今回の政策評価です。小泉政権下で始まった、法科大学院の設置と司法試験合格数の大幅増で法曹を質、量共に充実させようという政策が失敗だったのではないかという問題意識から、私が中心となってこのテーマを取り上げました。
この政策を進めてきた法務省や文科省、法科大学院関係者、そして日弁連の一部からのクレームもあり、はじめは行政評価局も尻込みしていました。しかし、当時の原口総務大臣の後押しや、弁護士の郷原信郎先生、ジャーナリストの江川紹子さんなど各界で活躍中の有識者の方々のご協力により、358頁の充実した報告書を完成させることができました。
報告書は、
①3000人という司法試験の合格目標数
②修了者の7、8割が司法試験に合格するという法科大学院の教育目標
③優秀な法曹志願者が集まることを前提にした法科大学院の入学定員
④法科大学院を維持するための公的支援などが過大であること
を指摘し、法務省と文科省に対し、合格目標数の見直しや、法科大学院の入学定員、教育内容、公的支援の見直しなどを勧告しています。