年度内ぎりぎりの30日、社会保障の安定財源を確保するための消費税法改正法案などが閣議決定されました。これに先立ち、27日まで8日間にわたって民主党の政策調査会の下に設けられた合同会議が開催され、連日100名以上の議員が参加して法案の内容を審議しました。後半は夕方から深夜までの会議となり、合計審議時間は50時間近くになりました。とりわけ熱心な議論となったのは、景気条項逆進性対策です。

まず景気条項は、消費税引き上げの半年ほど前に景気が悪ければ増税を停止するものです。景気が悪い時に消費税を引き上げると、買い控えなどでさらに景気を冷え込ませ、企業や個人の所得が減ってかえって税収を減らすおそれがあるからです。

会議での議員の意見を踏まえ、政府が2020年度までに名目経済成長率3%を実現するための措置を取り、その取り組み状況などを踏まえて、増税停止か否かの判断をすべきことを明文化しました。

この点については、経済成長率の数値目標を入れることを頑なに拒んでいた政府の原案を大きく修正するものであり、一定の成果があったと思います。

一方、逆進性対策とは、同じ5%の消費税引上げでも、収入が少なく消費を削る余地のない人の方が負担を重く感じるため、戻し税などで負担感をやわらげようとするものです。

ところが政府の原案では、戻し税の対象となる方々の収入水準や戻し税の額が明確ではなく、さらに議論を重ね、内容を詰める必要があるとの意見が多数でした。

にもかかわらず、野田総理の意向で結論を急がなくてはならないとして、議長である前原政策調査会長が突如議論を打ち切ってしまいました。それまで全ての議員に発言の機会を与え、政府の原案も柔軟に変更してきただけに、肝心なところでの方針変更に耳を疑いました。

消費税の引上げを国民の皆様に説明し、納得してもらうのは容易なことではありません。党内の叡智を結集し、法案に足りない部分があれば国会に提出する前に補っておくべきです。今回の法案は、結論を急ぐあまり肝心なものが抜け落ち、党内にしこりを残してしまいました。