震災からちょうど二か月の11日、法務委員会で「東日本大震災に係る司法関係等の課題」の質疑が行われ、私は二重ローンの問題を質しました。

二重ローン問題とは、借金で購入した住宅や漁船などが津波で流されるなどして借金だけが残った場合において、被災者が新たな借金をして失った住宅や漁船などを購入したため、借金が二重になって返済が容易でなくなる状態を言います。

しかし、今回の震災で住宅などを失った方の大半は未だ避難所生活を送っており、失った住宅などを取り戻すための新たな借金をするには至っていません。であれば、今なすべき最大の二重ローン対策は、二重ローンを防ぐことです。 そのためには、大きく分けて二つの方法があると思います。

一つは、極力二度めの借金をしないで済むようにすること。例えば、ご家族で行方不明の方がいらっしゃる場合、通常は少なくとも1年間、ご存命と扱われ、原則としてその方の預貯金を払い戻したり、生命保険の支払いを受けたりすることはできません。

しかし、このようなお金が残された方に早く行き渡れば、二度めの借金をせずに住宅などを購入できる可能性が出てきます。 この点を指摘し、江田法務大臣には、残された方からの要請があれば行方不明者についても早期に死亡届を受理することを、和田金融担当政務官には、民間の金融商品についても公的年金などと同様、行方不明から3か月経つと支払われる制度を導入することを、要請しました。

二重ローン対策の二つめの方法は、最初の借金を免除してあげること。過去に耐震偽装マンション事件でも二重ローンが問題となりました。当時の政府は、過去の借金を免除するのではなく、マンション建て替えに補助金を出し、新たに必要となる借金を極力少なくすることで被害者を支援しました。

被害者に一定程度の収入があれば、この方法で足りるのかもしれません。 しかし、今回の被災者は、住宅だけでなく職も失った方が多く、政府としてさらに踏み込んだ支援をする必要があると思います。特に、自営業の方で住宅に加え、漁船や店舗なども失い、借金だけが残った方についてはなおさらです。

この点を、江田大臣、和田政務官、田嶋経済産業政務官にご理解頂き、各省庁で対策を検討してもらうようにしました。この質疑の後、民主党でも二重ローン問題に取り組むためのチームが編成され、私もその一員となりました。