東日本大震災から1月が経過した11日、岩手県選出の国会議員らで首相官邸を訪ね、岩手からの要請事項を枝野官房長官に渡しました。

未だに避難所暮らしを余儀なくされている人々に対し、仮設住宅などの仮住まいをあらゆる手段を使って早急に確保することや、働く場のない被災地において、仮設商店街など当面の仕事の場を設けることなど、緊急対応を要する事項が中心です。

各国会議員が日々の活動を通じてお聞きしてきた、県内の様々な意見を踏まえてまとめました。官房長官は、「被災地の実情を踏まえた提案に感謝。政府としてしっかり受け止める」と述べました。

これらの住まいの確保や当面の仕事の場の提供など、被災者や被災地が受けた甚大な被害を少しでも取り戻すために行うのが「復旧」事業です。すなわち、災害によって生じたマイナスをゼロに近づけようとするのが「復旧」で、国と地方が当然やるべきこととされています。

一方、マイナスをゼロに戻すだけでなくプラスに転じようというのが「復興」です。現在の法制度では「復興」の意味が明らかにされていませんが、「復興」の意味が不明確だと、例えば、資金援助や特例措置を用いて被災地を震災前より活力ある日本のモデル地域にしようという取組みが、「バラマキ」、「焼け太り」などと批判されかねません。

13日の法務委員会での質疑では、

政府で現在検討中の復興基本法において、復興の概念を明らかにし、国民的な合意の下で、復旧を超えた新たな地域を作る創造的な取組みや、そこで暮らす人々が将来に希望を持てる取組みができるようにすべきだ

と仙谷官房副長官に提言しました。

副長官は、

ほぼ全面的に同意する。東北地方のみならず日本全体が抱える人口減少、高齢社会、過疎と集中といった課題をどう克服するかということが復興の概念に取り込まれなくてはならない

と答弁。被災地の未来を創造し、日本全体の再生を実現する復興に向け、現在、民主党復興ビジョン検討チームに入り、知恵を絞っています。

【議事録】
177-衆-法務委員会-5号 平成23年04月13日

○階委員 おはようございます。民主党の階猛でございます。
 本日は、一般質疑ということで、一時間時間をいただきました。
 きょうは、政府から、大変お忙しい中を仙谷官房副長官を初め他省の方々にもいらしていただいておりますので、まずは、そちらから最初にお聞かせいただければと思います。
 きょうは、大きく四つのテーマについてお聞かせ願いたいと思っておりますけれども、まず一つ目。先般、復興構想会議の設置が決まりました。この件について、復興基本法という法律も月末までに国会に提出するやに伺っておりますけれども、その点とも絡めて少しお聞かせ願えればと思っております。
 この復興構想会議、メンバーを見ますと、私、地元が岩手なんですが、岩手県の達増拓也知事など東北三県知事も含まれ、また、各界から非常に立派な方々が入っておられます。資料の一ページ目でございますけれども、こういったメンバーをそろえて復興構想というものを練っていくということですが、少し私見を申し上げれば、構想という言葉、通常、構想というのは、企業経営の世界などでは事業家や経営者が自分の頭の中に描くもので、ビジョンというのは、構想を現実のものとするために社員や利害関係者に伝えて、彼らを動かすための道具だというふうに言われるかと思っております。こういう定義に従えば、構想というよりもビジョンの方がいいのかなというふうにも思うわけでございます。
 その一方、我々民主党の中には、まさに、復興ビジョン検討チームというものが置かれております。私もその一員とならせていただいておりますけれども、党の中に置かれる復興ビジョン検討チームの役割と、政府に置かれた復興構想会議の役割の役割分担についてどのように考えればいいか。これはまだこれから煮詰まっていく話なのかもしれませんが、少し副長官にそのあたりについて御意見をお聞かせ願えればと思います。

○仙谷内閣官房副長官 おはようございます。
 まずは、階委員も多分、この古今未曾有の地震と津波によって大変な被災をされたんだろうと想像いたします。心からお見舞いを申し上げます。
 そして、今度の東日本大震災で被災をされた皆さん方にまずはお悔やみとお見舞いを申し上げたいと存じます。そして、現在も大変苦しい、困難な状況の中で避難生活を送られている皆さん方にも、政府としては、すべての力を結集、発揮して、必ず被災された方々の生活を安定的な方向に持っていくという決意でおりますので、そのことをまずはお伝えを申し上げます。
 そして、現在、復旧のファーストステージがほぼ一段落を迎えようとしている。多分、ここからは復旧のセカンドステージに入ってきつつある。つまり、瓦れきの処理と仮設住宅の建設等々、住まい、そして、健康保全といいましょうか、公衆衛生や健康保全の問題が本格的な課題になってくる時期に入ったというふうに考えておりまして、その段階で次のステージ、つまり復興に向けて国民すべての支え合いの精神での御協力をいただきながら、新しい希望をつくって、総力を結集して、町や村、あるいは地域、そして日本の大きな新しい創造的な復興をつくっていく。そのために、階委員はビジョンというふうにおっしゃいましたが、これは多少ニュアンスの問題かもわかりませんが、構想をつくり、それを実施する強力な部隊をつくることが必要なんだろうというふうに考えておるところでございます。
 民主党にも復興ビジョン検討委員会というのができておるわけでございますが、私も少々かかわっておるわけでありますが、基本的には政府・与党、そして今回の場合には野党の皆さん方のお力もかりなければならない。とりわけ、大正時代の関東大震災のときの決定的な失敗は、当時の政友会という強大な野党勢力が後藤新平の復興院構想をはなから強力に反対をして、これで部分的に頓挫をしたということが、関東大震災の総括として、反省として我々はしっかりと腹に入れて臨まなければならない。この国会でも、野党の先生の皆さん方の大きなお力を合わせて、おかりして復興を進めなければならないということが一番肝要だろうというふうに考えております。
 政府が責任を持って、復興構想会議なら復興構想会議でつくられる復興の構想を、しっかりと実践的な法案なり予算なり、あるいは計画なりに移し込んでいく。これを、構想にせよビジョンにせよ描き切るのは、こういう時代でございますので、当然のことながら、地域、地方の方々、あるいは、昨日も、閖上地区で一カ月間ずっと治療、そしてコミュニティーの中でいろいろなアドバイスをされた医師の方が私のところに来ていただきましたけれども、閖上地区の自治会は随分しっかりしておって、この方々に任せ切る、そういう復興の構想でいいんじゃないかというお話までいただいたところでございます。
 やはり、地域の自主性、自発性、そして創意あるいは要望というものにこれが生かし切られるような、そういう復興のスキームが一方ではつくられなければならないだろう、そういうふうに考えているところでございます。
 非常に広く、深く、大きく、重く、そういう震災でございますので、従来的イメージだとなかなか自治体の手に余るというような話にもなるんでしょうけれども、やはり現場の自治的な主体を信じ切って任せる。そして、国自身としては、東日本大震災が与えている日本の国力総体に対するダメージをいかに回復し、あるいは、いかに未来志向で発展させるかという視点も絶えずこの構想なりビジョンの中に含んでいなければならない、こんなふうに雑駁に考えているところでございます。
 いずれにしても、あしたから構想会議の議論が始まりますので、そこで、ビジョン的な考え方なのか、頭の中で考えたのをペーパーに書くだけではない、実施につながるような構想をつくり上げてもらいたいものだな、こんなふうに考えているところでございます。

○階委員 私の入っている復興ビジョン検討チームの方でも、直嶋座長を初め、先週は岩手の現地を視察に行き、また現地の企業経営をされている方々のお話なども聞き、今週末は宮城にも行ってまいります。
 現場の声をしっかり聞いて、それをもとにして、まさに仙谷副長官が言われたような、地域に根差した復興のビジョンというものをつくり上げていきたいと思いますので、ぜひ我々のつくったビジョンというものも政府の施策の中に反映していただければというふうに思っております。
 そして、先ほどごらんになっていただいた資料一の下半分の方に「復興に臨む政府の態勢」という簡単な図のようなものが、これは東京新聞の記事なのでこれが正確なものだというふうには申し上げるつもりはないんですけれども、この中で一つ気になったのは、ちょっと見づらいんですが、この図の一番下に、「復興対策本部事務局(復興庁?)」というふうにありまして、復興庁というものがあります。復興庁という言葉を聞くと、消費者庁のような府省のもとに置かれる庁ということを想起するわけです。国家行政組織法も、庁といえば府省の外局であるというふうにされているわけでございます。
 一方で、仙谷副長官は野党時代、私も仙谷先生の下で、政府が出してきた消費者庁の法案の対案として消費者権利院というものをつくるべきだ、消費者庁では縦割りの行政組織の中で権限が不十分で、もっと権能を強化すべきで、そのためには庁ではなくて院なんだということを議論したことをよく覚えております。
 そうした中で、今回の、ここに書いている復興庁という言葉に私はひっかかったわけでございますけれども、府省のもとに置かれる庁という組織ではなくて、より強力な権限を持った、まさに復興院のような組織が必要というふうに考えるわけでありますけれども、その点についても御見解をお聞かせ願えればと思います。

○仙谷内閣官房副長官 これは、まさに復興構想会議でも議論をしていただく一つの論点、大論点だと思います。
 つまり、その構想の中で復興基本法のようなものをしっかりと法案としてつくるかどうか、そして、その法案の中でこれをつかさどるといいましょうか、執行する行政の単位、あるいはその上には当然政治があるわけでありますが、そういうものを、阪神・淡路大震災のときのような本部ということでいくのか、あるいは今階委員が御指摘になられたような復興庁、現在各省庁が持っている権限を集めて、そしてそれを統合する、インテグレートするような行政機関の方がいいのか、こういう議論になろうかと思います。
 御参考までに、阪神・淡路大震災のときには、階さんも消費者庁のときの経験でおわかりのように、どうしても一行政機関をつくろうということになりますと、それで旧来の省庁の権限をとってくるという話になりますと、日本の国家行政組織法上、法律でそれをつくるという、位置づけることは簡単なわけでありますが、新たな行政執行機関をつくるということになりますと、ややもすると個々の論争に時間がかかる。論争は、政治家の間の論争であれば、これはどこかで妥協ということもあるのかもわかりませんが、霞が関、各省庁の縄張り争いに近いところになってきますと、延々と果てしない論争が続くということもあって、阪神・淡路大震災のときには本部体制ということで、大臣が当時は国土庁大臣だったようでありますが、小里大臣が総指揮を振るわれて本部を運営していったということでございましょう。
 これは非常に一長一短があるわけでありますが、いずれにしても、今度の復興基本法のようなものがつくられるとすれば、その中に、本部にせよ、あるいは新しい省庁をつくるということ自身が法律上の根拠を置くものとして設定をされるべきだろうというふうに私どもは考えているところでございます。そして、実質上は相当大きな権限といいましょうか、本来的な意味での司令塔機能を生かして、オール・ジャパン、総力を挙げての復興の施策の実施ということをしていかなければならない、こんなふうに考えているところであります。

○階委員 ありがとうございます。
 その霞が関の果てしない議論につき合っている時間はないわけですけれども、一方で、実効性のある組織を立ち上げるということは非常に大事なことだと思いますので、ぜひその点を踏まえて、これからの復興施策をリードしていく、実施していく機関のあり方というものについてしっかりとした対応をいただければと思っております。
 そして今、副長官のお話の中にも出た復興基本法、枝野官房長官も先日の記者会見で復興基本法というものをつくるんだというふうにおっしゃっていたと思いますけれども、この復興基本法をつくるに当たって、ちょっと私、勉強したことがございます。
 資料の二ページ目。「提案としての復興基本法」という見出しから始まっている箇条書きの資料でございますけれども、これは戎正晴弁護士さんという兵庫の弁護士会の先生、この方は阪神・淡路大震災の復興の際に非常に活躍されて、いろいろな経験を踏まえて、これからの立法のあり方、復興に関する立法のあり方について御提言されたものを私が見まして、きょう、そこから抜粋させていただいたものでございます。
 この中で特に私が注目すべきと思いましたのは、真ん中あたりに「復興の概念」というふうなところがあります。「復興とは、都市構造の改変や産業基盤の改変、市街地の再形成や都市機能の更新等中長期的課題の解決も視野に入れた概念であることの確認が必要である。」と。
 なぜこのような復興の概念を法律の中に盛り込まなくてはいけないかということでございますが、実は、我が国の法体系上、復興という言葉の定義が今まで存在しなかった。復旧ということは定義があったといいますか、そもそも字義のとおり明確といいますか、もとある状態に戻せばそれは復旧だ。ところが、復興というのは、もとある状態を超えて、さらに上に伸ばしていく。それはどこまで伸ばしていったらいいかということは、なかなかこれは程度を決めるのは難しいわけでございます。
 そうした中で、ともすれば、復興、復興ということを言うと、焼け太りではないかというふうに言われたり、あるいは、復興の中で財産を失い生計の手段を失った方に新たに生計を立てるための財産を国が与えてあげましょうと言うと、私有財産制度のもとでは、そういう、国が個人の財産を保障することはできません、そういったような議論が出てくるわけでございます。
 ところが、やはり復興という言葉がしっかり定義されることによって、これは国民的な合意のもとで、復旧を超えた新たな地域をつくるための創造的な取り組み、さらに、そこで暮らす方々が将来に希望を持てるような取り組み、こういったものができるわけであります。
 したがって、私は、この復興基本法、政府がつくると言われている復興基本法の中に、ぜひ復興という概念をしっかり盛り込むべきだと考えますけれども、この点について御見解をお聞かせください。

○仙谷内閣官房副長官 ほぼ全面的に階委員のお考えに同意をいたします。
 菅総理も、未来志向的な創造的復興という言い方、あるいは復興から創造へというふうな言い方をしていらっしゃるわけでありますが、私も、今度の震災というのは、大変文明史的、ある種の分水嶺のところに、こんな古今未曾有の、千年に一遍というふうな言い方もされますけれども、そういう時点で発生した。そして、原子力発電というある意味では人間が考え出した最も先進的な技術のところに、ある種の破綻が来ておるというふうなこと。そして、今度の震災でわかってきましたことは、日本の非常に緻密な、エネルギーにせよ、あるいは工業製品にせよ、あるいは漁業、農業から発する日本全体の我々の生活水準にせよ、これはどこがぱちんと切られても成り立っていかないような関係性にあるということであるんだろうなと改めて身にしみて感じておるところでございます。
 おっしゃるように、復興の概念といいましょうか、未来志向で、そして歴史的な角度も兼ね備えて、そして、私は、自然と人間、人間生活の関係ということも十分踏まえて、そしてなおかつ、東北地方のみならず日本全国が置かれた、ある種の人口減少、そして高齢社会、そして過疎と集中、この問題をどう私どもが克服していくのかということが復興の概念の中に当然取り込まれなければならないというふうに考えているところでございます。

○階委員 ありがとうございます。
 仙谷副長官、最後の質問でございますけれども、私、金融の世界におりましたものですから、これからの復興に当たって、何とか金融の機能というものを使えないかと思っております。
 と申しますのも、皆さん御案内のとおりの国家財政難の折、なるべく国家財政に頼らず、民間の資金を調達してそれを効率よく効果的に復興の財源に充てていく。また、復興のためのプロジェクトというものも、いわゆるばらまき的なものではなくて、しっかり、将来的に、これをやればこの地域はよくなるんだ、ひいては日本にとってもこれが成長の礎になる、こういったプロジェクトを金融のプロなどのしっかりとした目きき能力を持った人が審査して、それでお金をつけていく。
 そういった意味で、金融機能を活用するということがこの復興に当たっては大事なのではないか、そして、その金融機能の活用ということも私はこの復興基本法の中に盛り込んだ方がいいのではないかと思っております。その点について、最後に御意見をお願いします。

○仙谷内閣官房副長官 この点につきましても、階委員の考え方に一〇〇%同意をしたいというふうに私は考えております。
 といいますのは、ここ約二年間、日本は成長戦略を考えてきたわけでありますが、国の財政がこういう状況になっていることの反面、民間には相当のお金が、たまっておると言ったら語弊があるかもわかりませんが、家計部門のみならず企業部門にも、あるいは金融機関にもお金が蓄積をされておって、これが動かないというのが日本経済のある種の病気だというふうに私は見ておりました。
 そこで、先般までの成長戦略では、インフラパッケージ型輸出というようなことで、海外にそのインフラパッケージを、特にグリーンフレンドリーなインフラをシステムとして輸出する。そのときに、国家財政的なお金はごく一部を使って、それをレバレッジとしてファンド構成を、できれば民間のたまっているお金を使う。それで資金循環を日本の経済の中でよくすれば、多分日本の経済はもう一度よみがえるだろう、そういう論理のもとに成長戦略を書いたりしたわけであります。
 同じように、これから資金需要が大変大きなものとなってくる。それで、日本のある種滞留したお金を回す、あるいはアジア的、世界的な相当だぶついているお金を、うまくエコフレンドリー、あるいはこれから全世界的に始まる高齢社会対応型の社会に対する投資として民間資金をうまく活用するということは、極めて重要なことだと私は思っておりまして、当然、金融論的な観点からこの復興構想が練られて、それが実施されなければならない、おっしゃるとおり、そのように考えております。
 したがって、復興構想の中あるいは基本法の中にも金融的な観点が盛り込まれる必要があるだろうと考えております。

○階委員 副長官、いろいろと有意義な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。大変お忙しいと思いますので、退室されて結構でございます。ありがとうございました。
 済みません、時間の関係で、質問の順番をちょっと入れかえます。
 二つ目のテーマで、第二次犯罪被害者等基本計画ということで、末松副大臣にお越しいただいております。
 資料の多分一番最後についていると思いますが、犯罪被害者基本計画における主な施策、これが今回の目玉となる施策がいろいろ列挙されているわけであります。ここには出ていないかと思うんですが、計画の本文の方を見ますと、「東北地方太平洋沖地震の今後の事態の推移も踏まえ、計画期間の終了前であっても、必要に応じてこの計画の内容を見直す」というくだりがございます。
 これはどのような事態を想定されているのか、あるいは、そのような事態が起きた場合にいかなる見直しを行うことになるのか、ちょっとここが気になったものですから、御見解をお聞かせください。

○末松副大臣 お答え申し上げます。
 階先生には、この第二次犯罪被害者等基本計画におきまして、その策定に当たって、性犯罪被害者の対策について非常に貴重な御意見を種々賜りまして、まず感謝を申し上げます。
 この第二次犯罪被害者等基本計画、これから粛々と五年間やってまいりますが、そのときに、今、階先生御指摘の、大地震について、「必要に応じてこの計画の内容を見直す」ということでございますが、一応この基本計画そのものは、自然からの突然の被害という大地震ではなくて、人からの被害というところを前提にしているわけでございますけれども、大地震の中で、そういった犯罪ということについて、もしそういったことがこちらの計画として必要であるときにはそこは見直していく、そういう趣旨でございます。

○階委員 行き届いた配慮だと思います。ぜひ、そういった事態には迅速に対応いただければと思っております。
 また、震災に関連してなんですけれども、私は、震災で被災された方々、特に御家族などを失われた方々、こういった方々については、心のケアであるとか生活のサポート、こういったものが重要であるかと思っております。一方、この犯罪被害者の基本計画、これはもう第一次からそうなんですが、まさに、被害者の心のケアとか生活のサポート、こういったものにきめ細かい配慮がされている、また、そうであらなくてはならないというふうに思っております。
 すなわち、両者には共通する部分といいますか、ここの基本計画は、これからの被災者の心のケアや生活のサポートに役立つ部分も大いにあるのではないかと思っております。例えば、そういった点を、被災者生活支援特別対策本部というのが政府に置かれておりますけれども、そういったところに提言して、それでいろいろな施策に盛り込んでいただくように副大臣の方で行動されたらいかがかなと思うわけでございますけれども、どうでしょうか。

○末松副大臣 大変有益な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。
 まさしく、大震災にしろ、あるいは犯罪にしろ、被害者の方々にとっては突然のショックといいますか、自分の責には帰しない突然のショックというのがございます。これに対する施策としては、本当に共通の施策がございます。
 例えば、今委員御指摘のように、損害回復とか経済的支援等、この資料にもございますように、カウンセリングとか、あるいは生活支援で公営住宅への優先入居とか、あるいは被害回復のための休暇制度の周知啓発とか、あるいはPTSD治療のためのいろいろな紹介やら専門家の育成とか、さらには、ワンストップ支援センターで、できるだけ被害者に負担がかからないような、こういう施策が来ていますし、また、女性とか子供さんのケア、そういったトラウマ、そういったものに対してもこの施策が盛り込まれておりますので、私の方からも、政府の対策本部に対して、この概念的なものをきちんと使えるような形で努力をしていきたいと思います。
 ありがとうございます。

○階委員 副大臣、ありがとうございました。これで副大臣への質問を終わりますので、御退席願って結構でございます。
 あと二つほどこの関係で法務大臣にお聞きしたいんですけれども、具体的な施策の中で、何年以内に検討するというものが法務省関係で二つ、もっとあるかもしれませんが、二つほど取り上げたいと思います。
 一つは、第一の「損害回復・経済的支援等への取組」というところの一番上なんですが、弁護士等との打ち合わせにカウンセラー等を同席させることに対する日本司法支援センター、いわゆる法テラスによる支援についての検討ということなんですが、この点については、被害者が例えば裁判で損害賠償請求などをする際に、いろいろな事実関係を弁護士との間でお話ししなくてはいけない。かなりの精神的な負担があるわけです。ですから、私はカウンセラーというものは必要ではないかと思っております。
 実は私、先ほど末松副大臣からもちょこっとお話が出たんですが、議員になる前は、弁護士として犯罪被害者の支援の活動をしておりました。なものですから、カウンセラーというのは非常に大事だなというふうに思ってもいるわけです。二年という期限を設けてはおりますけれども、なるべく早くここはやられた方がいいのではないかと思います。
 この点について御見解をお願いします。

○江田国務大臣 犯罪被害者の救援について階委員が御努力をいただいていることに感謝をいたします。
 今回のは未曾有の大震災ということでなくて、犯罪被害者的要素というのが今回の被害者にあることは確かでございますが、そうではなくて、犯罪被害者を救援していくというのは、これはもう一般的な必要性でございますし、また、犯罪被害者が本当に心のケアなどいろいろなことが必要で、そういう行き届いた支援をしていかなきゃならぬというのはこのとおりだと思っております。
 一方で、弁護士の方も、犯罪被害者と接点を持ち、犯罪被害者からいろいろな思いを聞いたりするときに、やはりカウンセリング能力も弁護士の皆さんにも持っていただきたいと思います。さはさりながら、やはり弁護士と犯罪被害者の間にカウンセラーの皆さんに立っていただいて、それはこういう意味なんですよ、こういう痛みをわかってくださいよ、こんなことを弁護士さんにもちゃんと言っていただくことが犯罪被害者の実質的な被害の回復につながるということもあると思っておりまして、それでこういう、二年をめどに検討するということを今やっているところだと思います。
 ただ、これは二年というのを、もちろん、それは物事は早ければ早いほどいいんですが、しかし、どういうスキームでやるか、民事法律扶助の対象にすることが可能なのかどうか、別のスキームにする必要があるのか、あるいは犯罪被害者等、あるいはカウンセラー等の要件をどういうふうに考えるかなど、検討を重ねる必要のある問題点がございまして、その検討の過程で、法テラス、日弁連、各種の被害者支援団体等を初めとする関係機関、団体との協議も必要で、なるべく急ぎたいと思いますが、相応の検討期間は必要不可欠と思っておりまして、御指摘の点は十分配慮してまいります。

○階委員 ありがとうございます。
 もちろん、弁護士自身もカウンセリング能力を磨かなくてはいけないんですけれども、やはり一般の人にとっては、弁護士というのはなかなか近づきがたいというか、弁護士の能力以前に、やはり弁護士という存在自体が、緊張したりあるいはいろいろ負担になったりというのもあるものですから、そういった観点で、ぜひ御検討をお願いします。
 あともう一点だけ。
 第三の「刑事手続への関与拡充への取組」というのが右の方にございまして、「被害者参加人への旅費等の支給に関する検討」、これも法務省で二年以内に結論を出すというふうにあるんですが、常識的に考えて、被害者、ただでさえいろいろな傷を負って、経済的にも大変な状況にある方が多いと思われるんですが、こういった方に自己負担で法廷に来いというのもちょっと酷ではないかと思っております。ぜひその点もなるべく早く実行していただきたいと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。

○江田国務大臣 刑事手続に被害者が参加をする制度、これをつくる経過は委員御承知のとおりで、やはり被害者に参加をしていただいて、刑事手続を被害者にも納得のいく、そういう手続にしたいということではございますが、なかなかその旅費まで持つというのも大変で、今のところはこれは自費ということになっているのは御承知のとおりでございます。
 しかし、おっしゃるとおり、それは酷ではないかというのもよくわかるところで、ただ、どのような考え方に基づいて支給するのかとか、あるいは支給の要件をどうするのか、支給する機関、機関というのは仕組みですね、これをどういう仕組みでやるのか、費用の範囲をどうするのかなど、いろいろ検討するところがございまして、御指摘の制度の導入は、ひとつ着実に検討を進めさせていただきたいと思っております。

○階委員 ありがとうございます。
 次のテーマに移りたいと思います。
 法曹養成制度について、これも昨年来、給費制の存続などとも関連していろいろな議論をしてきたわけでございますけれども、まず事実関係を確認させていただければと思います。
 鈴木寛文科副大臣の方からかと思いますが、平成二十三年度のロースクールに入るための適性試験の志願者数、これは何か二つの試験の実施機関があるようですけれども、大学入試センターの方で結構でございます、大学入試センターで実施したロースクールの適性試験の志願者数や、法科大学院の入学者数、その中で社会人の入学者数、これがどういった数字になっているか。前年度と比べて増減数、あるいはその増減の理由というものについてお聞かせ願えればと思います。

○鈴木(寛)副大臣 お答えを申し上げます。
 平成二十二年度に大学入試センターが実施をいたしました法科大学院適性試験の志願者は八千六百五十人でございます。これは対前年度比千六百三十二名の減となっております。また、平成二十二年度の法科大学院の入学者数は四千百二十二名、うち社会人は九百九十三名でございます。これはそれぞれ対前年度比で申し上げますと、七百二十二人の減、社会人は三百五人の減、こういうふうになっております。
 その要因ということでございますけれども、当初、例えば平成十三年の六月に出されました司法制度改革審議会の意見書等々では、法科大学院の修了者の七割から八割程度が合格できるような教育にするであるとか、あるいは、法学部出身者でない者や社会人等を一定割合以上入学させる、こういうことで社会人の志望というのが大変ふえたわけであります。制度発足の平成十五年度には、大学入試センターの適性試験の志願者は三万九千三百五十人ということでありますが、先ほど申し上げましたように大幅な減となっております。
 その理由は、主として、いわゆる修了者の合格比率というものが、当初の意見書等々で言われておりましたイメージ、モデルに比べますと相当程度低迷をしているということで、特に社会人の方などが、それまでのお仕事をやめてこの分野に進んでいったとしても、なかなか当初の合格見込みというものになっていないということで、社会人が敬遠をされている。その結果、この制度全体が悪循環になっていっている、そういう社会人の有為な人材が志願してくれなくなっている、こういう循環。さらには、昨今は、そもそも高校生の法学部志願自体が大幅に減少をしているということで、若い方々、若い方々のみならずでありますが、若い方々がそもそも法曹という分野に参入をしなくなっているという悪循環に陥っている、こういう状況でございます。

○階委員 確認ですけれども、今平成二十二年度の数字をおっしゃっていただいたと思うんですが、把握している数字はそれが直近のものということになりますか。平成二十三年度はまだなんですね。はい、わかりました。直近の数字はそういうことで、恐らく平成二十三年度も、今おっしゃったような減少傾向というのは続いてくるんだろうなというふうに理解しています。
 七、八割合格ということをうたっていたわけでございますけれども、実際にはなかなかそこまではいっていないということなんですが、現在の入学者数四千人ちょっとという数字の中で、もともと三千人を目指していたわけですから、四千人の七、八割だとちょうど三千人ぐらいになるわけですけれども、さはさりとて、余り能力が及ばない人を、七、八割が目標だからといってどんどん受からせていいのかという問題もあるわけです。さらに、ロースクールに入った人の立場からすれば、やはり目安は出していただきたいなと思っているところだと思います。
 そこで、法務大臣にお聞かせ願いたいのは、どの程度の合格率が今の入学者を前提とした場合に望ましいと考えられるのか、イメージをお聞かせ願えますか。

○江田国務大臣 これはなかなか難しい質問でございます。
 私も、司法制度改革審議会のスタートのときから国会という場でいろいろかかわってまいりまして、いろいろな提案なども、むしろ与党的な立場から、当時は野党だったんですが、にもかかわらず提案をしてまいりまして、司法制度改革審議会の意見書の思いというのは共有をしているつもりでおります。
 そのときの思いというのは、点からプロセスへの養成と、そして七、八割は法科大学院卒業者が司法試験に合格するような、イメージですけれども、というものを持ってやっていく、そうすると、法科大学院に入る皆さんも安んじてプロセスの中で養成される、そういうことをイメージしていたんですが、現実がどうもそうなっていないというのは確かでございます。そして、年間三千人にとにかく引き上げて、そして全体に弁護士が五万人というようなイメージにたどり着いていこうとしたんですが、これも、現実に今、必ずしも順調にそういうことになっていないというのは御指摘のとおりです。
 ただ、こういう中で、また単にイメージだけを申し上げてもどうもこれは仕方がないので、やはり今の状況の中で法務大臣として言えることは、合格者というのは、司法試験委員会において、しっかりとこれは能力の有無を判定するという観点から合格者数が決まっていって、そしてその結果、率というものは、やはりこれはその結果として出てくるものであって、あらかじめ率をイメージとして持って、そして数の方を決めていくというのはなかなか難しいことかなと思っております。

○階委員 率が出せない説明はよくわかります。であれば、逆に、どの程度の能力を身につければ合格するんだ、そういう資格の取得できる要件というか、そちらの方を明らかにしてもらえないかと。
 つまり、受験生にとってみれば、三千人とか七、八割合格と言っていたけれども、全くそれが現実には達成されていない中で、果たして何を政府がやろうとしているのかということが示されないと、先ほど鈴木副大臣もおっしゃったように、どんどんロースクールに入る人も減れば大学の法学部に入る人も減っていって、法曹人口というものが、むしろふやすために行ってきたはずなのに、将来的には減りかねないというとんでもない事態になるわけです。だから、その辺をぜひ早く、先の目標を示していただけないかと思っております。
 そういった関係で、先回のこの委員会でも議論が出ていたと思うんですが、文科省と法務省さんの方で新たな検討体制、いわゆるフォーラムというものを立ち上げるんだけれども、準備はしたんだけれども震災の関係でおくれていますというお話でした。
 ただ、この委員会では、昨年、給費制を一年間延長しますといったときに、委員会決議で、法曹養成制度のあり方をこの一年間で検討しましょうというふうにしておったわけで、時間は余り残されておりません。ですので、一刻も早くフォーラムで積極的な議論を進めていかなくてはならないと思います。
 せっかくですので、鈴木寛副大臣の方から、そのフォーラムは今後いつ立ち上がるかとか、あるいはどういうふうに進めていくか、御見解をお示しいただけますか。法務大臣にお聞きしようと思ったんですが、せっかく文科副大臣が来ておられますし、前回、法務大臣はこの点をお答えされていますので、ちょっとかえまして、済みませんが、副大臣、お願いします。

○鈴木(寛)副大臣 フォーラムの設置は、実は、私とそれから法務副大臣、前副大臣の加藤公一副大臣、その後、小川敏夫副大臣が引き継いでおられますが、ワーキンググループをつくりまして、そこで、両省庁でやれることはやっていこう、こういうことでワーキンググループは取りまとめました。
 例えば、先ほど七、八割と言いましたけれども、修了者と合格者、これは両方あるわけです。修了者の方は主として文部科学省が担当をするわけでありまして、合格者の方は法務省が担当するわけでありますが、悪循環に陥った理由はいろいろございますけれども、一つは、やはり入学定員が一時多過ぎたというのは、私は率直にそう思っております。ピーク時は五千八百二十五人でありました。したがいまして、文部科学省におきましては、平成二十三年度で申し上げますと、二割減の四千五百七十一名まで入学定員を削減いたしました。
 そしてさらに、修了認定というものをきちっとやっていただくようなことを今求めております。とりわけ一部の法科大学院には、きちっとしたそうした取り組みを、質保証をやってください、そしてそれが不十分なところは財政支援を見直すといったことの改革を、この両省庁のワーキンググループでの検討と並行しながらどんどん改革を進めております。
 ただ、この問題、例えば合格者の問題は主として法務省なわけでありますが、世の中全体がやはり協力をしていかないと、この悪循環というのは解決ができないと思います。例えば司法試験合格者、当初のイメージで申し上げると、階委員もそうでありましたが、企業内のローヤーとか、そうした法曹有資格者の活躍する分野というものをもっともっと広げていくという、このことは好循環に転ずるための非常に重要なポイントであります。
 例えば、来年の秋からは、国家公務員の職種の中に法務職というのを、大学院卒業程度で、司法試験合格者については一部の試験を免除した形で、そうしたまさに国家公務員において司法試験合格者が活躍する、こういう道を開こうという第一歩が始まるわけでありますが、例えば地方公務員の分野とか、それからもちろん企業内の分野とか、あるいは、私は学校法人あるいは大学法人を所管しておりますけれども、こうした分野でも法曹資格者の活躍をしていただく必要性、社会的ニーズというのは大変高まっております。あるいは病院等々でも同じだと思います。そういった法曹資格者の職域拡大といいますか、活躍していただく場を拡大していただく。こういうことでやはり出口を充実していくということが好循環につながる。もちろん、入り口のところは我々きっちりやります。
 そういう意味で、法務省、文部科学省を超えて、その他のいろいろなセクターの方々が入っていただいて、そしてフォーラムをつくって、今悪循環に陥ってしまったものを、みんなが同時に同じ好循環に転ずるシナリオを共有しながらやっていこう、こういうことでフォーラムの設置を今目指しているところでありまして、今震災で大変な時期ではございますけれども、これも大変大事な課題でございますので、小川副大臣とも一緒に、いろいろと全力を尽くしてフォーラムの開催に取り組んでまいりたいと思っております。

○階委員 ぜひよろしくお願いします。
 副大臣、これで御質問を終わりますので、退席されて結構でございます。ありがとうございました。
 残された時間、検察の改革について少しお聞かせ願えればと思っております。
 きのう、前田元大阪特捜部の検事が第一審で実刑判決を受けたということで、返す返すも本当に検察にとっては大変な問題だったわけであります。
 そして、検察の在り方検討会議が三月の末に検察改革の方向性を示したわけでございますが、その提言の中では、会議の中で議論が割れたからということでしょうか、全過程の可視化という表現ではなくて、できる限り広範囲の可視化という程度の表現にとどまっていて、私は少し残念だったわけでありますが、その後、法務大臣が、八日の日ですか、特捜案件の取り調べの全過程の可視化を試行するよう検事総長に指示したというふうに報じられているものでありまして、これは新聞記事、資料の三枚目にもつけております。私は非常にこの点は英断だったと思っております。
 今回、そのような指示をされた理由について、法務大臣、お願いします。

○江田国務大臣 これは、委員が今指摘されました昨日の大阪地検特捜部の前田元検事、一年六月の有罪判決、これに象徴されるように、今検察というものが本当に国民の信頼を失ってしまっておる、これを何としても回復をしないと、それはやはり検察の信頼がない社会というのは安心して生活できる社会じゃないので、国民的な課題だと思っておりました。どうやったら信頼回復できるかと。もちろん、一人一人の検察官が日々の検察権の行使を適切にして、その積み重ねで時間をかけてということもあるでしょう。それも私はもちろん重要なことだと思いますが、検察というのはこういうふうに調べをしているんだということが、可能な限りやはり国民に明らかになっていくということが必要なんだろうということで、この取り調べ状況の録音、録画ということがクローズアップされてきているわけですね。
 取り調べを録音、録画して国民の皆さんに、さあ見てくださいと、こんなことはもちろんできることじゃありません。しかし、ちゃんと録音、録画を全過程しているということがやはりどこかにないといけないということで、検察の在り方検討会議の提言はいろいろな皆さんの御意見をいただいているので、ある幅がございました。
 録音、録画をやりますと、やはり供述を得るということに障害になるんじゃないかといういろいろな懸念も、もちろんこれは私も感じないわけじゃない。感じないわけじゃないけれども、それでもやはりやっていただかなきゃならぬというので、提言の中に、ある幅があった、その一番実際にやろうじゃないかというところを特に取り上げて、特捜部の身柄事件について全過程の録音、録画というものを、全件やってくださいとは言いません、しかし必ずこれをやってください、そして、それをやっていく中で、本当に問題点があるのかということをちゃんと検証できるように実行してくださいということで、検証するということになりますと、一件、二件、ちょっと取り上げてつまみ食い的にやったのではこれは検証できませんから、ある一定の数やっていただくということになる。これを、そういう思いから検事総長に指示をしたところでございます。

○階委員 実際には、本当に、この指示を出すのは大変な御苦労があったのではないかと。それは、私も可視化議連という中で活動しておりましたので、辻先生たちと一緒に何回も何回も法務省の方たちとやり合って、それでもなかなか進まなかったものですから、これはもう法務大臣は本当に頑張られたなというふうに思うわけであります。
 そういった中で、その新聞記事の中で、検察庁法十四条の一般的指揮権を行使したやに書かれておりますけれども、もしそれが事実だとすれば、やはりそれは、ちょっとやそっとじゃ動かないから一般的指揮権でやるんだということだったのでしょうか。そのあたりをお願いします。

○江田国務大臣 御承知のとおり、検察というのは、これは司法に限りなく近い世界で、政治とは距離を保っていただかなければなりません。しかし、やはりこれもあくまでも行政権の一部ですから、国民に対して、政治の部門あるいは立法の部門が責任を持って説明できるということになっていなければなりません。
 そこで、その両方の兼ね合いということで、検察庁法がいろいろな規定をして、法務大臣は検察官を一般的に指揮できる、ただし個別の事件については検事総長のみという、そういう仕切りになっておりまして、検察官を一般的に指揮する法務大臣の権限として検察官の頂点にいる検事総長に一般的に指揮をするんだということを、私はあえて明確に検事総長にもそのことをはっきり申し上げてお願いをいたしました。そうすることによって、検事総長に、本当にこれは法に基づいてやってもらわなきゃならぬことなんだということを明確に理解をしていただく。
 もちろん、私が言うまでもなく、検事総長はその理解をし、その熱意も持っていると思っておりますが、国民の皆さんにもそういう形で今政治が動いているんだということを明確に認識していただくためにも、そうすることが必要だと考えたわけです。

○階委員 大臣の御見識と実行力、僣越でございますが、私からも本当に敬意を表したいと思います。
 質問時間が終了しましたので、最後ですけれども、これから試行していく中で、今まだ全過程の可視化、どういった事件についてやるかというところまでは詰め切れていないように資料などを見ていると思うわけですが、ここを、なるべく全過程を可視化するのを原則として、事件の範囲も広げていただきたいなということを考えております。また機会がありましたらこういった点についても御議論をさせていただきたいと思います。
 きょうはどうもありがとうございました。