平成3年に入行した日本長期信用銀行では、新人時代の3年間、中小・中堅企業向け融資の新規開拓を行いました。埼玉県の川口市周辺を担当しましたが、融資の審査のために、ものづくりを通して社会に貢献する企業をいろいろ見学しました。

世界から注目される超高性能の工作機械を作る会社や、熟練した職人芸で精巧な鋳物を作る会社、古紙を溶解してトイレットペーパーに再生する会社など、いくつかの会社の仕事ぶりに感銘を受けました。

いい会社は、現場で働いている人の姿が違います。自分の仕事に熱心に取り組みながらも、こちらからの質問に対し、丁寧に分かりやすく答えてくれます。仕事に対する愛着と誇りがひしひしと伝わり、融資を実行して事業発展のお手伝いをしようという気にさせられます。

ひところ「会社は株主のためにある」という風潮が強まりましたが、私は、会社はそこで働く人を第一に考えなければならないと考えます。働く人が仕事に愛着と誇りを持てば、金融機関を含めた取引先や地域社会に評価される仕事が行われます。そして、結果的に会社の業績も上がって株主にも恩恵が及ぶはずです。

この国にも同じことが言えるのではないでしょうか。政治の力で働く人が誇りを持てるような環境を作れば、「日本株式会社」は成長し、「株主」=国民全体に恩恵が及びます。働く人が誇りを持てる社会にするため、民主党は以下の政策を実行します。

① 農業の戸別所得補償制度

米・麦・大豆などを計画的に生産する販売農業者に対し、生産費と販売価格の差額(全国平均を基準)を基本とした所得補てんを実施し、農業再生と食糧自給率向上に注力。
⇒畜産・酪農、林業、漁業についても同様の所得補償制度を導入します。

② 雇用のセーフティネット

職業訓練期間中に月額最大10万円の手当を支給する「求職者支援制度」の創設と、最低時給の全国平均1000円への引き上げを目指し、雇用の流動化と低賃金による生活不安を解消。
⇒派遣労働者については、派遣会社との雇用契約を2か月以上とし、専門業務を除いて、雇用見込み1年未満の派遣労働やものの製造現場への派遣を禁止します。

③ 中小企業政策

中小企業の法人税を11%に引き下げ、連帯保証人制度の見直しなど個人保証に頼らない融資を拡大し、中小企業の経営支援で日本経済の基盤を強化。