12日、国会では第二次補正予算が成立しました。しかし、大型連休中に成立した第一次補正予算の中で、未だに実行の目途が立たない事業があります。「キャンペーン期間中の旅行商品を購入した消費者や、飲食店を予約・来店した消費者、飲食店で使える食事券を購入した消費者、イベント・エンターテインメントのチケットを購入した消費者に対し、割引・ポイント・クーポン券等を付与する」ことなどを行う「GoToキャンペーン」です。

「GoToキャンペーン」では、総額1兆7000億円のうち約3000億円が事務委託費に使われることが野党の調査で判明し、委託先の公募方法が見直されることになりました。当初は7月から開始される予定でしたが、8月以降に先送りされそうです。

そもそもこの事業の目的は、飲食、宿泊、イベントなどコロナ禍で大打撃を受けた各地の事業者の売上げを回復することにあります。そして、長距離移動の自粛要請が解除される中で、コロナの感染拡大を防ぐ配慮も必要です。無駄な税金を使わず、売上げ回復と感染防止を両立させるには、高速道路料金を引き下げて利用を促すのが有効と考えます。

現に、「GoToキャンペーン」を推進する国交省にとっては不都合な事実でしょうが、同省は「休日上限1000円」の実行に年間約1500億円を要するのに対し、その観光に与える経済効果は8000億円に上るとする試算を公表しています。事業者の売上げ回復に関係ない事務委託費に3000億円を使うより、はるかに意味があります。今こそリーマンショック時の「休日上限1000円」や、民主党政権下での「無料化」を復活させるべきです。

また、鉄道や船、飛行機といった多人数を運ぶ公共交通機関を利用するより、マイカーで移動する方が感染の危険は少なくなります。高速料金引下げで公共交通機関の利用者が減り、そちらの経営が厳しくなるという意見もありますが、当面は消費と雇用が最も落ち込んでいる飲食、宿泊、イベント関連業界の売上げ回復と感染防止に力を入れ、コロナ収束後に公共交通機関の支援も行うのが得策ではないでしょうか。

9日の財務金融委員会で、「休日上限1000円」を実行した際の首相でもある麻生財務大臣に対し、高速道路料金の引下げを提案しました。麻生大臣は、8000億円という高速料金引下げの経済効果に驚きを示しつつ、「今、石油もだいぶ安くなったし、そういった意味でも効果があると思いますので、いろいろな意味で検討する価値があるかと思います」と前向きな答弁でした。コロナ不況を乗り越えるには、多額の財政支出が必要です。しかし、政府に任せっぱなしでは貴重な税金が無駄に使われかねません。国会は閉会せず、与野党の真摯な議論によって、客観的な事実に裏付けられた意味のある予算を組むべきです。