13日、内閣委員会で「国家公務員法等の改正案」の審議が始まり、私も質疑を行いました。法案名の「等」の中には、検察庁法改正案も含まれています。本来、法務委員会で法務大臣に質疑を行うべきです。野党から繰り返し要求したにもかかわらず、与党は法務委員会と連合で委員会を開催することも、法務大臣に質疑することも認めません。やむを得ず国家公務員制度を担当する武田大臣に質疑を行いましたが、基本的な条文に関する質問ですら、まともに答えられません。「本来であるならば、法務省から答えるべき」という言い訳が私の質疑の前後にも繰り返され、審議は途中で打ち切られました。

ところで、検察庁法改正案については、報道が「コロナ」に集中し、集会やデモが開催困難な状況にも関わらず、インターネットを通じ、著名人を含む多くの国民が反対の声を上げています。なぜ、検察庁法改正案への反対運動が急速に広がったのでしょうか。

検察官の定年に特例を設ける今回の改正案の問題点として、①10月に法務省が作った特例抜きの改正案を特例付きの改正案に差し替える正当な理由がなく、②黒川氏の勤務延長を後付けで正当化するもので法改正に道理がなく、③検察官が権力者の意向を忖度するようになって検察の存在意義をもなくする、ということを以前指摘しました(4月4日付発信「無恥と無理と無視-検察庁法の改正」http://shina.jp/a/activity/13076/を参照)。

しかし、問題はこれだけではありません。④「できない」はずの定年延長を、時の政権の解釈変更で「できる」ことにしたり、⑤「震災の時に検察官が最初に逃げた」など、国会で大臣がウソの答弁をしても平気で居座ったり、⑥野党が反対する検察庁法改正案と野党も賛成する国家公務員法改正案を一本の法案に束ね、法案を通しやすくしたり、⑦先に述べた通り、大臣がまともに答弁できなかったり、⑧いかなる場合に定年延長が許されるかなど、肝心な部分を明らかにしないまま審議を終えようとしたり、問題だらけです。

しかも、こうした問題は今に始まったことではありません。④は集団的自衛権を認めた憲法9条の解釈変更、⑤は森友、加計、桜に関する首相らの答弁、⑥は野党が賛成する「取調べの可視化」と反対する「盗聴法改正案」とを束ねた「刑事訴訟法等改正案」、⑦は、「共謀罪法案」の金田法務大臣の答弁、⑧は、新たな資格の外国人労働者をどの分野で何人受け入れるかを明らかにしなかった「入管法改正案」など、すべて安倍政権では前例があります。

これら悪しき前例の集大成が今回の検察庁法改正案なのです。国民の反対運動が盛り上がるのは必然であり、心ある与党議員も疑念を示しています。検察官の定年特例を削除した正しい案を成立させるべきです。引き続き皆様のご支援、ご協力を宜しくお願いいたします。