30日、東日本大震災以来の休日審議を経て、新型コロナ対策のための補正予算が成立しました。例年であれば、この時期は大型連休を利用して多くの人が帰省や旅行を楽しむ「黄金週間(ゴールデンウィーク)」です。しかしながら今年は、新型コロナの感染拡大により緊急事態宣言が発令され、国民に外出の自粛が求められているため、「家にいる(ステイホーム)週間」と呼ばれています。

「ステイホーム週間」で国民の移動の自由は制限されます。国会議員も、私を含め多くの方は、地元選挙区に戻らず、国会の事務所や宿舎で過ごすことになります。さらに深刻な影響を受けるのは、宿泊、観光、飲食など多くの来客を見込んでいた業界です。国民が精神的、肉体的、経済的に苦痛を強いられる「ステイホーム週間」がなし崩し的に習慣化することは絶対に避けなければなりません。

そのために、第一に、緊急事態宣言の対象となる地域や期間は新型コロナの感染拡大を防ぐ上で必要最小限のものとするべきです。当初7都府県を対象に5月6日までとしていた緊急事態宣言は、「大型連休期間における人の移動を最小化することを目的として」、感染者が少ない県も含め、対象地域を全都道府県に拡大しました。大型連休が終わった後も緊急事態宣言を延長するのであれば、国民が納得できる新たな理由付けが必要なはずです。

第二に、緊急事態宣言の下で、国民が過度に委縮しないよう、移動の自由が制限されるのはどういう場合なのかをできる限り明確に国民に伝える必要があります。この点に関し、政府の「基本的対処方針」では、各都道府県から、「不要不急の帰省や旅行など、都道府県をまたいで人が移動することは、まん延防止の観点から極力避けるよう住民に促す」ことになっています。しかし、「不要不急の帰省」とはどういう場合なのか不明確です。政府に尋ねても、自分で判断して欲しいという無責任な答えでした。

緊急の用事で帰省した方が周囲の人とトラブルになることを避けるためにも、明確な基準を示すべきです。ちなみに帰省以外の外出については、「医療機関への通院、食料・医薬品・生活必需品の買い出し、必要な職場への出勤、屋外での運動や散歩など生活の維持のために必要なもの」などが自粛の対象とならないとし、ある程度明確になっています。

第三に、緊急事態宣言を延長し、「ステイホーム」と休業要請が長引くことで生じる生活者や事業者の損害は、これまで以上に政府が補償するべきです。日本の国民は、他国と比べても政府に協力的であり、これに政府は頼り過ぎです。政府に補償責任を負わせれば、安易に緊急事態宣言を延長せず、他の感染拡大を防ぐ方法にもっと真剣に取り組むはずです。