16日、安倍政権は、新型コロナウィルスの緊急経済対策に関し、これまでの「減収世帯に限り世帯人数に関わらず30万円」としていた給付金の支給方針を転換。「全国民に一人一律10万円」にすることにしました。ようやく野党側の主張も取り入れました。

ただし、これによって20日から審議入りの予定だった補正予算案は、約8兆円の増額となり、事務作業などのため審議入りは少なくとも1週間程度遅れそうです。いったん政権が決めた予算案を国会審議の直前に撤回して作り直すという異例の事態です。安倍首相は、混乱を招いたとして謝罪したものの、500億円近くを投じて防疫性に疑問のある布マスクを一世帯に2枚配布することや、星野源さんが歌う動画に合わせて自宅で優雅にくつろぐ姿をSNSに投稿したことと併せ、安倍政権の失態が続いています。

しかも、給付金の方針転換を決めた16日の夜になって、47都道府県のすべてに対し、「緊急事態宣言」を発令しました。これにより全国民の行動が制約されるから、給付金も全国民に支給することとしたいのでしょうが、給付金の方針転換を正当化するための後付けの理屈にしか見えません。当初は愛知のように感染者の多い県も緊急事態宣言の対象から外していたのに、その発令から10日も経たずして、岩手のように感染者が確認されていない県まで緊急事態宣言の対象にすること自体、無理筋だからです。

こうした批判を意識し、安倍首相は、全都道府県を対象地域にした理由として「都市部からの人の移動等により、クラスターが各地で発生し、感染拡大の傾向が見られる」ことを挙げています。しかし、それは最初に緊急事態宣言を発令した際に予見できたことです。しかも、今回の宣言に伴って変更された基本的対処方針では、「不要不急の帰省や旅行など、都道府県をまたいで人が移動することを極力避けるよう住民に促す」ことを原則としています。

コロナの影響で仕事を失った方など、やむを得ない事情で都市部から岩手など地方の実家に戻る方などが視野に入っていません。大事なことは、そのような方が感染に気付かないまま実家で家族と同居することなどにより、地方にも感染が拡大するのを防ぐことです。その方策として、実家に高齢者など重症化リスクの高い同居人がいる場合、帰郷者がすぐに実家に戻らず一定期間は宿泊施設に滞在できるようにする措置などを盛り込んだ「新型インフルエンザ特措法改正案」を国会に提出すべく、野党共同会派で検討を進めています。

失態を重ねて「緊急事態」にある安倍政権を守るために、「緊急事態宣言」を軽々しく発令し続けることは許されません。私たちは、これからも国民の権利や自由、そして地域社会と経済を守るための政策を提案し、実行につなげます。