27日の夜、安倍首相は新型コロナウィルスの対策本部会合で「全国すべての小、中、高、特別支援学校について来週3月2日から春休みまで臨時休校を行うよう要請する」と宣言。

その2日前に文科省は休校も「考えられる」と慎重な通知を出したばかりです。それが感染者のいない地域も含めて全国一律、しかも、木曜夜になって翌週月曜から長期の休校を求めたため、学校関係者や児童・生徒の保護者をはじめ、国民の多くが驚き、慌てました。

とくに岩手県では、3月6日に公立高校の入試を控え、中学3年生にとっては追い込みの大切な時期です。感染者も27日の時点で判明しておらず、首相の「要請」は完全に想定外でした。ただし、翌日に文科省が出した新たな通知を読むと、従来の方針とさほど変わらない印象です。「臨時休業の期間や形態については、地域や学校の実情を踏まえ、各学校の設置者において判断」できると書かれていたからです。

そこで、28日の財務金融委員会で安倍首相に対し、「岩手のように感染者がなく入試が迫った地域では休校しなくてもよいのか」と尋ねたところ、「要請に法的拘束力はなく、基本的な考え方を示したものだ。それぞれの学校、地域において柔軟に判断していただきたい」と、前日の「要請」の言いぶりからは、だいぶ後退した答弁でした。

 私から「基本的な考え方を示すのであれば、もっと表現をマイルドにしてもよかった。休校につき真に緊急の必要性があるのなら、休校の措置を盛り込んだ特別法を国会で与野党が協力して議論、成立させたほうが現場の混乱もなく、実効性も高まるのではないか」と質したところ、安倍首相は「そういう(法律を通す)形もあるだろうが、限られた期間で行政府として責任をもって判断した」と答弁。

 しかし、東日本大震災の際、私たち民主党の政権は被災地での統一地方選挙を延期する法案を短期間で成立させており、法律でもやれるはずです。そして、そもそもこの問題に限らず、安倍政権の立法府軽視の姿勢がどんどん強まっています。自衛隊の中東派遣や黒川検事長の定年延長は、無理な法解釈で行うのではなく、必要な法改正を経た上で行うのが筋です。

加えて、この日の質疑で、カジノ賭博による収益の計算方法に関して麻生財務大臣らに尋ねましたが、「カジノ管理委員会が決める」とし、国会での議論を避けました。国民の多くが反対するカジノについてもこの有り様です。こうした既成事実が積み重なり、いつしか国民の自由や権利を政府が幅広く制限できる「緊急事態条項」を含む憲法改正につながっていくことを危惧します。国民が警戒する必要があるのは、「コロナ」だけではありません。