28日、財務金融委員会で麻生財務大臣と黒田日銀総裁に質疑を行いました。議題は、前年度の国の決算で余ったお金を今日の補正予算と来年度の本予算で使い切ることを可能とする「剰余金特例法案」です。

前々回も述べたとおり、決算で剰余金があれば、少なくともその半分は過去の借金の返済に充てなくてはならないのが原則です(財政法6条)。民主党政権の時は、東日本大震災の復旧復興に使った平成22年度の剰余金を除いて、この原則を守りました。第二次安倍政権になってからも、昨年までは7年連続で原則を守ってきましたが、今回これを破りました。

さらに、従来は剰余金を使い切る場合であっても、補正予算の財源に充て、追加の借金をできるだけ抑えてきました。しかし、今回は補正予算の財源には一部しか充てず、追加の借金が膨れ上がっています。まさに異例中の異例、財政健全化の観点からは「下の下」のやり方です。

その上で、使い切らずに残しておいた剰余金を来年度の本予算の財源に充て、見かけだけは国の新たな借金が8年連続で減少させています。安倍首相は、施政方針演説でこのことを取り上げて自慢していましたが、財政の実態はむしろ悪化しており、笑止千万です。

8年連続の新規借金減少が「粉飾」であることを半ば認めた麻生大臣に対し、私は、「こんな法案をなぜ出すのか。財務省の矜持がまったく感じられない。大臣として恥ずべきことだ」と指摘。その上で、「こういう財務省の姿勢を改める、それができなければ自ら責任をとる。その決意を示すべきではないか」と迫りましたが、「これによって財政がさらに乱れていくというような感じを私自身が持っているわけではまったくない。財務省なりにそれなりの対応をさせていただいている」と、まったく恥知らずな答弁。

他方、日銀の黒田総裁には、「当初2年のはずだった『異次元の金融緩和』が無期限となり、超低金利が長く続いた副作用として、財務省は過去の借金の返済や新規の借金の抑制を怠るようになった。その結果、今回の法案提出に至った」旨を指摘。

その上で、「財政規律を緩め、未来の世代にツケが先送りになっていることに責任を感じないのか」と尋ねたところ、「私どもは、2%の物価安定目標のために現在の金融緩和を行っている」と的外れな答弁。仮に目標が正当だとしても、目標が達成できず悪い副作用が生じているなら、それを認め、責任を感じ、改めるのが当然です。国家の中枢にある二つの組織のトップは、いずれも恥知らずだと言わざるを得ません。