22日、「即位礼正殿の儀」が国内外から1999人を招いて皇居の宮殿で行われ、私も参列しました。天皇、皇后両陛下が登壇される「高御座(たかみくら)」と「御帳台(みちょうだい)」が置かれた「松の間」とは、中庭を挟んで正面にあたる「春秋の間」の中央付近の席に座ることができました。近くには英国のチャールズ皇太子やミャンマーのアウンサースーチー国家顧問、フランスのサルコジ元大統領ら各国の代表の姿も見えました。

儀式は、午後1時前に秋篠宮さまを先頭に皇族の方々や三権の長が先に松の間に入り、15分ほど静寂の時間が流れた後、「鉦(しょう)」と呼ばれる鐘の音とともに、「高御座」と「御帳台」の幕が開き、色鮮やかな束帯と十二単にそれぞれ身を包んだ天皇、皇后両陛下が忽然とお姿を現しました。ちょうどその頃、降りしきっていた雨が小止みになり、薄日が差してきたこともあり、宮殿内に神秘的な雰囲気が漂いました。

その後、天皇陛下のおことばがあり、皇位継承を内外に宣言するとともに、上皇陛下の歩みを振り返りつつ、「国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たす」と誓われました。

「天孫降臨」神話に根ざす「高御座」の中から天皇陛下がおことばを述べられることについては、国民主権や政教分離を定める現行憲法にそぐわないという意見もあります。しかし、皇室の伝統に従って権威を保持した上で、その権威を権力と切り離し、天皇陛下が「憲法にのっとり」、「象徴としてのつとめを果たす」と誓う意義は大きいのではないでしょうか。日本古来の伝統と象徴天皇という現実を調和させた儀式だったと思います。

ただ、儀式に参列して気になったのが皇位継承資格を持つ男性皇族の少なさです。戦後改正された皇室典範により、「皇統(歴代の天皇の血統)に属する嫡出の男系男子」が有資格者とされました。現在この条件にあてはまる皇族はお三方、天皇陛下より下の世代となると現在13歳の悠仁さまのみです。一般社会と同様、皇室でも晩婚化と少子化が進んでいます。

小泉政権時の「皇室典範に関する有識者会議」の報告書では、「皇位継承資格を女子や女系の皇族に拡大することが必要」としていました。また、一昨年に平成天皇の「譲位特例法」を国会が制定する際、付帯決議で政府に対し、「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」などについて、今回の即位後速やかに検討し、国会に報告するよう求めています。過去には天皇と男性のみで血統がつながる「男系」の女性天皇は8人存在しました。他方、男系以外の天皇は男女を問わず存在しません。皇室の伝統を大切にしつつ現実に調和させる皇位継承のあり方として、男系の女性天皇は十分にありうると思います。