12日から13日にかけ、台風19号が東日本を縦断し、岩手をはじめ広い範囲に大きな被害をもたらしました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

今回の台風で浸水した地域の面積は、昨年の西日本豪雨の1.3倍に上ります。死者・行方不明者の合計は100人に迫り、18日の朝時点で被害を受けた住宅の数は4万4478棟、避難者は4092人にもなります。農林漁業や公共交通にも甚大な被害が生じています。同日、政府は今回の台風が「著しく異常かつ激甚な非常災害」に当たるとして、被災者に司法や行政の特例手続きを認める特定非常災害特別措置法を適用することとしました。

自民党の二階幹事長は、党の緊急役員会で「まずまずで収まったのではないか」と発言しましたが、まったくの誤りです。むしろ「国土強靭化」と称し、防災のための公共事業を全国で推進してきた責任者として、これだけの被害が生じたことに真摯な反省をするべきです。ダムや堤防をいくら整備しても災害は防ぎきれないことを率直に認めるとともに、①台風の強大化や集中豪雨の頻発の原因となっている地球温暖化の問題に積極的に取り組んだり、②早期避難を促すためにハザードマップの情報をもっと活用したりすべきです。

地球温暖化については、災害だけでなく、東京五輪のマラソンが札幌で開催される見込みとなったり、日本近海でサンマが獲れなくなったり、私たちの暮らしに様々な影響を及ぼしています。9月にニューヨークで開かれた国連の「気候行動サミット」では、世界の66の国と地域が2050年に温室効果ガスの排出をゼロにすると宣言しましたが、日本はそれに加わりませんでした。

新任の小泉進次郎環境大臣はこのサミットに出席した際、「気候変動のような大きな問題に取り組むことは、楽しくクールでセクシーだろう」と英語で述べましたが、日本の実情を踏まえ、もっと危機感と緊張感を持ってこの問題に取り組むべきです。

ハザードマップについては、先日、盛岡で親しい方々が主催する写真展を見学した際、ハザードマップと同じ範囲を撮影し、必要な情報を盛り込んだ航空写真を展示してあるのが目に留まりました。ハザードマップとこの航空写真を対比して見れば、自宅の危険度が一目瞭然です。長年地域の防災活動に取り組んできた撮影者の方からは、実際に洪水が起こったと仮定した映像なども見せて頂きました。

毎日新聞によれば、台風19号で亡くなられた方々のうち、住宅内の死亡が4割超、車で移動中の死亡が3割弱に上り、台風接近前に避難していれば救えた命は多くありました。住民の早期避難の意識を高めるべく、情報発信をさらに工夫しなくてはなりません。