9月25日、釜石市の「鵜住居復興スタジアム」で行われたラグビーW杯のフィジー対ウルグアイ戦を観戦しました。実力では下と見られていたウルグアイが接戦の末にフィジーを破った試合内容は、最後まで目が離せないものでした。

そして、青い空、紺色の海、緑の森に囲まれ、「絵に描いたように美しい」と言われる「鵜住居復興スタジアム」が、国内外の大観衆で埋まった光景は本当に感動的でした。この地は、津波で甚大な被害を受け、元々あった小、中学校は高台に移転しました。震災直後は「ラグビーより復興を優先すべきだ」という声もありました。

私は、ラグビーの栄光の地でもある釜石でのW杯開催は、復興の加速化と被災者の希望につながるとの確信の下、「ラグビーW杯日本大会成功議連」の一員として釜石開催に向けて仲間の議員と活動をし、予算委員会では安倍首相から釜石への支援を取り付けました。ようやくこの日、盛り上がる会場の雰囲気を見て、釜石で開催してよかったとつくづく思いました。

10月13日に行われる第2戦では、この感動と勢いをさらに広げたいところですが、懸念されるのは今日から原則10%に上がる消費税です。スタジアムの周辺では、ビールや地元料理、土産品などを求めてお店の前に長蛇の列ができていました。消費税が上がることで買う側の負担も増えますが、見過ごせないのはお店の負担です。

今回の増税は一律ではなく、「軽減税率」という名目で8%に据え置かれるものがあります。例えば、ビールは10%、清涼飲料水は8%。清涼飲料水でもお店が用意した席で飲めば10%、持ち帰ってスタジアムの席で飲めば8%。「お店で飲もうとして10%の消費税を支払ったけれども、席が混んでいるので持ち帰りにしたい」とお客さんが言えば、お店は2%分の消費税を返金しなくてはなりません。

お客さんもお店も混乱し、混雑に拍車がかかって店頭でのトラブルの種になりそうです。こうした事態を避けようと、持ち帰りかどうかを問わず税込みの値段を一律とするため、10月になっても消費税分を値上げしないお店もあるようです。

その場合、お店は10%の消費税を受け取ったものとして計算した税額を税務署に納めます。その分はお店の持ち出しとなり、負担が増えてしまいます。おまけに、政府が消費税対策として行うポイント還元やプレミアム商品券への対応で、さらにお店の負担が増えます。

ラグビーW杯の盛り上がりに水を差す消費増税の必要性を、立ち止まって考えるべきです。