7月30日、厚労省は、昨年の日本人の平均寿命が過去最高を更新したと発表。女性は87.32歳で世界2位、男性は81.25歳で世界3位とのことです。一方、昨年生まれた子どもの数は92万人弱で、過去最低を更新しました。少子化と高齢化が進んでいます。

現在の公的年金制度は、現役世代が支払う保険料を高齢者の年金の原資とする「世代間の仕送り」になっています。これでは、少子高齢化が進むにつれ、年金の財政は「入」が少なく「出」が多くなってしまいます。このままでは将来的に年金が持たなくなるため、小泉政権は「100年安心年金」と称して、「入」と「出」の変化に応じて年金の給付水準を徐々に切り下げていく仕組みを導入しました。「マクロ経済スライド」という仕組みです。

もうすぐ新たな試算が発表されますが、現在の政府の標準的な試算によると、公的年金の1階部分をなす「基礎年金」は2043年まで価値が減り続け、最終的には3割も減価します。つまり、「100年安心年金」とは、老後の生活が「100年安心」という意味ではないのです。今の年金制度が、細く長くなんとか100年持つという意味に過ぎません。

年金制度の持続可能性が優先され、国民一人ひとりの老後の生活が軽視されるのでは本末転倒です。人生100年時代を安心して暮らせる「100歳安心」の年金制度を考えていくべきです。そのような志を持つ井出庸生代議士(無所属、長野3区)、井坂信彦・前代議士(国民民主党、兵庫1区)と共に、年金制度の抜本改革案を議論しています。

議論の経過は朝日新聞社の「論座」というウェブサイトで連載中ですが、私たちは「100歳安心」のため、今の基礎年金を抜本的に変えて、長生きしても先細りしない年金制度にしたいと考えています。

そのために、75歳以上であれば、誰もが生涯を終えるまで同じ額を平等に受け取れる「ベーシックインカム年金」を構想中です。これは、保険料ではなく国費を使って、生活保護による生活扶助以上の金額(7~8万円)の年金を支給しようというものです。

75歳以上の高齢者を国費で支えようとする私たちの発想は、政府の調査に表れた国民感情とも合致しています(内閣府「令和元年度版高齢社会白書」)。ただ、この年代の方々が今後急増するため、いかにして将来にわたって財源を確保するかが最大の課題です。

年金生活者を含め、ゆとりのない世帯にとって負担感の大きい消費税に頼るのは得策ではありません。現在、3人で協力し、まったく新しい財源確保の方策を練り上げています。