アベノミクスで景気がよくなったと安倍首相は自慢しますが、その側近である自民党の萩生田幹事長代行は、6月の日銀短観で景況感が悪化すれば消費増税を延期して解散総選挙もあり得ると述べました。本当に景気がよいなら、あり得ない発言です。

そして日銀によれば、異次元金融緩和を始めた平成25年ころから銀行による不動産向け融資が増加。現在はバブル期の平成2年末以来の過熱状態にあり、昨年の東京都区部の新築マンションの平均価格は7142万円で平成3年以来の高値です。株価の方も、日銀や公的年金が大量に株を購入した結果、第二次安倍政権が発足した当時より2倍以上になりました。しかし、実体経済の強さを示す実質GDPはこの間ほぼ横ばいです。不動産も株も現在の価格は「バブル」とも言え、いつ下落してもおかしくありません。

平成の前半、バブル崩壊で金融機関の経営が悪化した際、金融機能を守るため、預金保険機構には39兆の公的資金が投入され、10兆円の国民負担が生じました。一方、その後の不良債権回収や出資金の返還などで1兆6000億円の剰余金が預金保険機構にたまっています。この剰余金の半分について、消費増税の際に実施するポイント還元やプレミアム商品券の財源にするため、政府は「金融機能早期健全化法改正案」を国会に提出しました。しかし、剰余金があるなら景気対策ではなく過去の国民負担の穴埋めに使うべきです。

また、残り半分は、過去に預金保険機構が破たん金融機関から買い取ったおよそ1兆5000億円もの株式について、将来損失が発生した場合などのリスクに備えて置いておくそうです。しかし、そもそも大量の株式を保有し続けるからリスクを負うのであって、株価が下落する前に処分すべきです。17日の財務金融委員会で、麻生財務大臣にこのように主張しましたが、

「剰余金を過去の債務返済(国民負担の穴埋め)に充てても、その分景気対策の財源が不足して新たな国債を発行するから債務の残高には変わりない」と開き直った答弁。そもそも借金を減らすために増税するのに、借金してまで景気対策をするなら、増税をする意味がなく矛盾しています。

また、株の処分については、「金融市場の状況を踏まえつつ適切に判断する」とごまかしました。平成18年には今より日経平均株価が6千円以上低い1万5891円だったのに売却を開始していたことと矛盾しています。

安倍政権は、「バブル」を生み出しましたが、その利益は国民負担を減らすのではなく政権の人気取りに使う一方、そのリスクは先送りで将来の国民負担を増やしかねません。景気が悪化したら、ダブル選挙より、バブル責任で内閣総辞職が筋です。