アベノミクスは物価が継続的に下がる「デフレ」が悪だとし、異次元の金融緩和と借金による公共事業で大量のお金を市中にばらまき、①物価を上げ、②企業の投資と売上げを伸ばし、③従業員の賃金を増やし、④消費を活発にして、景気を良くするという寸法でした。

確かにお金の量が増えたので、「円」の価値は下がって円安となりました。結果、輸出企業の業績は伸び、外国人などの買いで株価は上がり、外国人旅行客は増えました。他方で円安によって、輸入に頼る原油や食料品の値段は上がりました。物価以上に賃金が上がれば、家計に余裕ができて消費も活発になったのでしょうが、現実にはそうなっていません。

そこで、安倍政権の下、「毎月勤労統計」をこっそり変えて賃金を水増し⇒ばれそうになると嘘をついてごまかし⇒とうとう発覚すると身内の「第三者委員会」で調査もまやかし⇒最後は「嘘はついたけど隠ぺいする気はなかった」と意味不明の理屈で関係者の責任をほったらかし、という政府の情けない姿が、私たち野党の追及で明らかになってきました。

これだけでも大問題ですが、消費の統計にも水増し疑惑が生じています。きっかけは先月26日の公聴会に招致された明石順平弁護士の発言でした。その趣旨は、「2016年に政府が国内総生産(GDP)の算定基準を変えた後、『家計最終消費支出』が異常な伸びを示すようになった(図1の太線)。それまでは総務省の『家計消費指数』から導かれる消費額とほぼ同様の動きだったのに(図2)、年を追うごとに格差が広がっていて不可解だ(図3)」というものでした。

この理由について、1日の予算委員会で私から茂木経済財政担当大臣に尋ねたところ、「家計最終消費支出の計算方法は変えていない。他の経済統計も同じような動きだ。そもそも二つのグラフは別物なので比較する意味がない。」との答弁。しかし、計算方法を変えていないのなら、これまでどおり「家計消費指数」と同じように動くのが自然です。

にもかかわらず、居並ぶ閣僚たちは、GDPの算定基準を変えて以来、両者の格差が年々広がっていることにつき、何も説明しませんでした。これでは消費の数字を意図的に水増しし、アベノミクスが成功したように見せかけたのではないかという疑いが消えません。

「ウソノミクス」のそしりを受けたくなければ、安倍政権は、この不可解な格差拡大について国民が納得できる説明をするべきです。